おはようございます。広島県竹原市にあります、忠海教会の唐見敏徳です。
昨年の7月7日と8日の二日間、愛媛県松山市で、あるクリスチャンの集会が行われました。正式な名前は全国キリスト教障害者団体協議会、略してキ障協といいますけれど、その総会でした。この集まりは、日本全国の障がいを持つクリスチャン諸団体が、年に一度この時期に、持ち回りで開催しているものです。昨年は四国障害者キリスト伝道会(四障伝)が担当でしたので、四国で行われました。この集まりに、広島からは広島障害者キリスト伝道会(広障伝)の会長以下、ヘルパーさんを含めて6名が参加しました。私もその中の一人として、松山に行きました。
広障伝はもともと忠海教会の先々代の牧師、井原牧生先生によって結成された組織です。20年前に井原牧生先生が天に召されてからも、広障伝の活動は忠海教会と聖恵会の大切な使命の一つとして受け止められ、また受け継がれています。
井原牧生先生ご自身、重度の障がいをお持ちでした。10代の半ばに難病の筋ジストロフィーを発症してから、その病を抱えつつ、教会の牧師としてのお働きに加え、聖恵授産所を建てて障がい者を支援するためのさまざまなお働きをなさいました。先生が障がい者支援のための活動に精力的に取り組まれたのは、まさにご自身が重度の障がいと共に生きるクリスチャンであったからでしょう。筋ジストロフィーという現在でも根本的な治療法のない難病を抱えておられたからこそ、そしてその痛みと苦しみを身を持って知っておられたからこそ、同じ痛みと苦しみを持つ隣人に何かをせずにはいられなかったのでしょう。
コリントの信徒への手紙二の12章には、使徒パウロが彼に与えられた一つのとげを取り除いてくださいと主に三度願ったことが記されています。パウロの願いに対する主の答えは次の言葉でした。「わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ」。そしてパウロは、とげが刺さっているということに主の御旨があることを悟り、「むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう」と語ります。
この聖書個所は筋ジストロフィーによる障がいというとげを本当の意味で受け入れるための力を与えてくれたと、井原牧生先生が述懐しておられる聖書個所です。この言葉によって、先生にとって障がいが、マイナスの力から、プラスの力に変わったのです。
松山でのキ障協総会を終えて、広障伝の仲間と一緒に帰る道中、総会に出席された方々の顔を思い出しながら、とても晴れやかな気分でした。それは、主イエス・キリストを信じる信仰者には、障がいをも恵みとして受け止め、それを乗り越える力が与えられるということを、参加者の一人一人が実際に証ししておられたからです。そこに、まことの信仰によって与えられる豊かな神の愛と恵みを目の当たりにしたからです。
番組をお聞きの皆さんにも、ぜひ、この信仰の恵みを知っていただきたいと、心から願っています。