いかがお過ごしでしょうか、国立聖書教会の野島邦夫です。
今週は、「人間は天使か悪魔か?」という問いに答えるかたちで、私たちの心についてちょっと考えてみてください。 今日は一方の極端、「人間は悪魔か?」について考えます。
人間の悪魔性の実例は、すぐに幾つも挙げられます。例えば、二十世紀中葉のホロコースト。アウシュヴィッツだけで、二年半の間に少なくとも120万のユダヤ人の、掛け替えのない命が奪われ、その上多くの遺体が焼却され、跡形もなく消し去られました。よくこんなことを考えつくものです。
最近、過激な暴力集団が世界を恐怖に陥れています。町々を破壊して多くの人を犠牲にするだけではなく、捕虜を火あぶりにしたり、首を切断して命を奪うというやり方に愕然とします。「人間のすることではなく獣のすることだ」と言いたくなりますが、これは獣に失礼です。獣は人をかみ殺すことはしても、その様子を撮影してメディアに流し、人々を恐怖に陥れることは考えつきませんから。
「もし悪魔が存在しないで悪魔を人間が創ったなら、人間は悪魔を自分の姿に似せて創ったのだ」というイワン・カラマーゾフの言葉が重く響きます。
もしこの通りで、私もあなたも「人の仮面をつけた悪魔」なら、悲しいことです。けれども、それならなぜ、この世界はとことん悪の世界になってしまわないのでしょうか。やはり何か善いものがあるのではないでしょうか。