ソロモンは非常に賢いうえに大金持ちで、豪華な生活をしていました。美しい宮が建ったあとで、ソロモンは自分のための宮殿を一つ、それにエジプトの王の娘である自分の妻のための宮殿を一つ作りました。神殿、自分の宮殿、それに妻のための宮殿を作るのに、ソロモンは20年かかりました。それから彼は、北のレバノン山脈の間に、また砂漠の真ん中に、いくつかの素晴らしい町を造りました。これらの町は大変良くできていて、今でも幾らか残っています。皆さんが大きくなったら、この国に行ってその遺跡を見ることが出来るでしょう。
ソロモンは、自分の王国を守るために、戦車や馬の大軍隊をつくりました。紅海に面する町では、海軍をつくりました。これらの船は、金が豊富にあるオフルという国までアラビアをまわって航海しました。これからの船は、2億5千万円に相当するほどの金を、ソロモン王の所に持ち帰りました。また、宝石やびゃくだんの木も運んできました。これは珍しい木で、これからソロモン王は、宮で歌うもののために琴と立琴を作りました。3年に一度、ソロモンの船は、インドまで行き、金、銀、象牙、猿、クジャクを持って帰ってきました。
エルサレムは大そう素晴らしい裕福な町になりました。神殿と王の豪華な宮殿のほかに、美しい家のある街路がたくさんありました。美しい庭には、きらびやかな尾をひろげてクジャクが歩き、猿もキャッキャッと言いながら、しゅろの枝から枝へと渡っています。王宮の中に、ソロモン王は純金でおおった見事な象牙の王座を作りました。王座には六つの幅の広い段がついていました。各段の両側に彫刻されたライオンが一頭ずつ置かれていたので、段の両側にライオンの列ができ、全部で12頭いました。ほかのどこの国にもこのような王座はありません。ソロモンの豪華な宮殿では、毎日たくさんの食料を必要としました。小麦粉176リットル、あら粉260リットル、牛30頭、羊100頭、それにあらゆる種類のシカや鳥の肉が必要でした。
ソロモン王は世界のどの王よりも賢く金持ちでした。遠くの国々から人々はソロモン王を見て、神がその心に与えられた知恵を聞こうとしてやってきました。これらの王はみな、金や銀の食器、美しい衣服、よろい、美味しい香料、馬、らばなどを賜物として、ソロモン王のもとに持ってきました。
毎年、ソロモン王の所には、4億円に相当する金が入って来ました。彼のコップ、皿は全部純金でした。銀のものはありません。銀はエルサレムでは、石ころほど取るに足らないものとされました。ソロモンは、ユフラテ川からエジプトの境までの土地を全部治めました。これはサウルの王国よりは3倍も広い領域です。そして、どこもみな平和でした。
ソロモン王の知恵を聞きに来た人の中には、一人の婦人、シバの女王がいました。シバは紅海に面した遠いアラビアにある裕福な国でした。シバの女王は威風堂々と旅をしてきました。暑い埃っぽい砂漠を約5百キロも旅しなければならないので、ラクダを非常にたくさん連れて来ました。女王はソロモン王と、特にソロモンの神について話したいと思いました。
遠い女王の国で、彼女はソロモンの知恵と、イスラエルの偉大な神について耳にしたのです。ソロモンのもとに来て、女王はたくさんの質問をしました。ソロモンは、彼女の満足するまで答えました。シバの女王は、ソロモンの知恵をためしてみたのです。彼女はソロモンの建てた家々、彼の食卓をおおう美味しい御馳走、その家来の多いこと、神殿の素晴らしさをすべて驚異の目をもって見ました。
彼女はソロモン王に、「私が国であなたと、あなたの知恵について聞いた噂は真実でした。しかし、来て、この目で見るまではそのうわさを信じませんでした。今見ると、その半分も知らされませんでした。あなたの知恵と富は、聞きしにまさったものです。あなたの知恵をいつも聞けるご家来たちは幸いです。あなたをイスラエルの王座につかせたあなたの神、主はほむべきかな。あなたの神はイスラエルを愛しておられるので、あなたをその王とされたのです。」と言いました。
シバの女王は、ソロモンに8千万円に相当する金と宝石と、その国で取れる香料をたくさんに贈りました。ソロモン王は、王宮で女王が褒めた美しいものすべてを彼女に贈りました。土産物をたくさん持って、女王とその家来たちは自分の国に帰って行きました。