熊田なみ子のほほえみトーク 2013年11月26日(火)放送

熊田 なみ子(スタッフ)

熊田 なみ子(スタッフ)

小さな朗読会171「神さまの愛した王、ダビデ」
(「母と子の聖書旧約下」72章)

 サウルとその息子たちが死んだ今、イスラエルの民には王がいなくなってしまいました。ダビデはサムエルに油を注がれていたので、サウルの死後、自分が治めるようになることを知っていました。彼は自分が王と宣言されるためには、どこに行けばよいかを主にたずねました。主はヘブロンへ行くように言われました。そこでダビデと従者は、チクラグの焼け跡を離れヘブロンの地方に行きました。イスラエルの民は、そう長い間サウルとその息子たちの死を嘆きませんでした。民はダビデが自分たちの王となる事を知っていました。そして民はダビデを愛していました。

 大勢の兵は、新しい王の戴冠に備えてヘブロンに行く用意をしました。毎日毎日次から次に兵たちは町にやってきました。やがて、ダビデに忠誠を示しに来た兵の数は300万にのぼりました。こうして、非常な喜びのうちにダビデは王にされました。彼は、30歳の時に王となり40年間治めました。その最初の楽しい7年間は、戴冠したヘブロンで過ごしました。その後、エルサレムが主都になりました。エルサレムは、高い丘の上に築かれ三方に深い谷がありました。戦争の場合守りやすい地勢でした。

 ダビデとその指導者たちが、エルサレムに住むようになってから、エルサレムはよく「ダビデの町」と言われるようになりました。王は素晴らしい王宮を建て、それにはツロの王ヒラムから贈られたみごとな杉材を使いました。彼はこの他にも立派な家をエルサレムに建て美しい町にしました。ダビデは、偉大な王になりました。これは神様がダビデと一緒におられたからです。ダビデは主を愛し、いつも神様に仕えようとしていました。

 しばらくエルサレムに住んでいるうちに、ダビデは、神の金の契約の箱がまだキリアテ・ヤリムにあるのを思い出しました。ペリシテ人は箱を取り、それを戻してから20年間ずっとそこに置かれたままでした。ダビデ王は、主都であるエルサレムに箱を持って来るべきではないかと国のえらい人たちみんなと相談しました。人々は、これを聞いて良い考えだと喜びました。人々はみな一緒にキリヤテ・ヤリムに行きました。彼らは、二人の人にひかれる新しい車に箱を乗せました。ダビデは琴を弾き、民はその車のそばを歩きました。歩きながらある者はたて琴・手鼓・鈴・シンバルを奏でたので美しい音楽が箱に伴いました。

 ある所に来ると、道が非常に悪くなり車をひいていた牛が躓きました。牛をひいていたウザという人は、箱を支えるために手を出しました。ところが神様は汚れた手で箱が触られることを喜ばれませんでした。ウザは、叫ぶ間もなくその場に倒れて死にました。この出来事にダビデと民はみな恐れました。そして、そこから先に進まないで彼らは近くの家に箱を置きました。3ヶ月間箱はそこに置かれました。ところがこの間、神様はその家を大そう祝福されたのでダビデは箱をエルサレムまで持ってくる勇気を起こしました。

 今度はモーセが命じたようにレビ人が箱を肩に担ぎました。再び歩きながらダビデと民たちは歌ったり踊ったりしました。こうして音楽と喜びのうちに箱はエルサレムの用意された天幕の中に置かれました。主にいけにえがささげられました。ダビデは、箱を守るため何人かのレビ人を任命しました。ダビデは、全ての民を祝福し、おのおのにパンの菓子一個、肉一切れ、干しぶどうひとかたまりを与えました。人々は、いけにえと同時に音楽をもって神様を褒めました。王は琴の名手でしたし、イスラエルのうちには他にもよい音楽家が大勢いました。ダビデは、たくさんの歌い手や、楽器を弾くものを集めこれを聖歌隊に分けました。また、契約の箱の前で読み上げられた長い歌も書きました。この歌は、「イスラエルの神、主はとこしえからとこしえまでほむべきかな。」という言葉で終わっています。人々はみなこれに「アーメン」とこたえて主をほめました。こうして再び箱が礼拝の中心となりました。神様が共におられたのでダビデは偉大な王となりました。

 ある日、ダビデは自分が立派な家に住んでいながら、神の清い箱がまだ天幕に覆われているだけであることに気づきました。ダビデに立派な考えが浮かびました。彼は金で覆われ、美しく飾られた立派な神殿を神様のために建てようと考えました。預言者ナタンもダビデの考えを喜びました。その夜、神様はナタンに語って、ダビデへのことづてを与えられました。神様は、イスラエルの民をエジプトの国から導き出されてからこのかた、神殿をつくる事を命じられたことはありません。神様は、ダビデを羊の間から取り出し、イスラエルの王とされました。神様はダビデに子孫を与え、彼らはダビデを継いで王となるでしょう。また神様はいつまでもダビデの子孫と共におられます。しかし神殿は、ダビデのように戦いの生涯を送った人手によって建てられるものであってはなりません。ダビデの後から王となるダビデの息子が神の家を建てるのです。ダビデは自分の子孫がいつまでもイスラエルの王となるという神様の約束を聴いて大そう感謝しました。そして、神殿を建てるという自分の考えはあきらめましたが、それを建てる息子のため何かと用意を整えました。

 ダビデ王は、よく戦いをしました。神様はその敵ペリシテ人に対する勝利を何度も与えられました。これらの人は、戦いに自分たちの偶像をもってやって来ました。偶像が戦いに力を貸してくれると思っていたのです。ところがダビデとの戦いでは惨敗したので、彼らは偶像を置き去りにして逃げました。イスラエルの民は、それらを焼き捨てました。イスラエル人はまた、ヨルダン川の東側に住んでいたモアブ人をも奴隷にしました。それからダビデは、イスラエル人の住んでいるよりも遥か北のほうまで行き、ユフラテ川の東側まで北の地域を全部征服しました。この北方地域の者はみな、ダビデ王の家来になりました。ずっと以前に神様は、ユフラテ川からエジプトまでの地を全部イスラエルに与えると約束されました。しかし、ダビデの時までこの地方をイスラエルは征服できなかったのです。ダビデは、戦った国々から大量の金や銀を取り、この金、銀、青銅をみなエルサレムに持ち帰りました。これは自分の息子がつくる事になっている美しい神殿に使うためです。北方の民族を征服した後で、ダビデは死海の南に住むエドム人と戦いました。ダビデは自分の将軍の一人を指揮官に立てました。たくさんのエドム人が殺され、ダビデはこの南の国の王にもなりました。

 皆さんは、サウルが治め始めた頃、ヤベシ・ギレアデの人が右の目をえぐり取ると脅されたアンモン王ナハシのことを覚えていますか。ナハシは死に、その息子ハヌンが王となっていました。ダビデは父の死を慰めるためハヌンに使者を送りました。ところがハヌンの僕たちはハヌンに「ダビデが慰めるものをあなたのもとに遣わしたのは、彼があなたの父を尊ぶためだと思われますか。ダビデがあなたのもとに僕たちを遣わしたのは、この町をうかがったのではありませんか。」と言いました。僕たちの言い分を聞いたハヌン王は、ダビデの使者たちを大そう辱めました。彼らのひげの半分を剃り落とし、その着物の半分を切り取ったのです。誰かが急いでダビデ王に、使者がどんなにひどい辱めを受けたかを告げました。ダビデはすぐにひげの伸びるまでエリコに留まるよう使者達にことづてしました。

 そのころ男の人はみな長いひげをはやしていたので、使者達は非常に恥ずかしく思っていたのです。ヨシュアがエリコを征服し焼き払ってしまって以来、エリコはまだ建てなおされていませんでした。当時はまだ何人かの田舎の人の他は誰もそこに住んでいなかったので、使者達はひげが伸びるまで人目につかずにそこに住む事ができたのです。ダビデは、親切から送った使者がこうも侮辱されたので大変怒りました。そこで、ヨアブという将軍のもとに最も優秀な兵たちをつけて、ハヌンと戦うためアンモンに遣わしました。ダビデ自身はエルサレムに留まりました。ハヌンは、これが大きい戦いになることを見て、以前ダビデに敗れたスリヤの王に応援を求めました。彼らは、ユフラテ川の向こうの、他の王たちにも助けを求めました。ヨアブはダビデに援軍を求めて来ました。そこでダビデは、大勢の兵を連れてヨアブと一緒になり共に敵の大群と戦いました。神様は、勇敢なイスラエル人を助けられたので他の国々は負かされダビデ王の家来となりました。二度とイスラエル人と戦うために勢力を合わせるようなことはしませんでした。

 ダビデは今や大変偉大な王となりました。彼はヨルダン川の東までアンモン人を征服し、北はユフラテ川までスリヤ人を、南はセイル山までエドム人を制圧したのです。これらの国々はみなダビデの僕となりました。王国が安全に確立されると、ダビデはサウルの子や孫で自分が面倒を見てあげられる者がいるかどうか探しました。そして、サウルの古い僕の一人、ジバが生きていることを聞きました。ダビデ王は、ジバを呼び寄せ「サウルの家の人で、なお残っている者があるか。私はその人に親切にしたい。」と言いました。

 これに答えてジバは、「ヨナタンの子がまだおります。その名は、メピボセテで足の不自由な子です。その父ヨナタンと祖父のサウルが殺された、あのペリシテ人とイスラエル人との恐ろしい戦いのとき彼はまだ五つでした。戦いの知らせがあると乳母は彼を隠そうとして急いで抱いて逃げました。だがその時その子を落としてしまいました。それからその子は両足が不自由になってしまったのです。」と言いました。王は「彼を探し出してここに連れて来なさい。」と言いました。メピボセテが王のもとに来ると、ダビデは自分がヨナタンを愛したこと、そしてヨナタンと交わした約束を思いやさしく「メピボセテよ」と言いました。メピボセテはひれ伏し恐れながら「僕はここにおります」と言いました。王が自分に何を要求するのか不安だったからです。ダビデは、「恐れることはない。私は必ずあなたの父ヨナタンのためにあなたに恵みを施しましょう。あなたの祖父サウルの地をみなあなたに返します。またあなたは常に私の食卓で食事をしなさい。」と言いました。ダビデ王は、サウルに属していた地をみなメピボセテに戻し、ジバがそれを耕しました。ヨナタンの足の不自由な息子は、エルサレムに住み王の食卓で食事をしました。こうしてダビデは、自分の友と交わした約束を果たしました。

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