熊田なみ子のほほえみトーク 2013年4月23日(火)放送

熊田 なみ子(スタッフ)

熊田 なみ子(スタッフ)

小さな朗読会164「民の目を救ったサウル」「王国をなくしたサウル」
(「母と子の聖書旧約下」67章)

民の目を救ったサウル

 皆さんも覚えているように、ヨルダン川の東側には、三つのイスラエル部族が残っていました。それは、ガド、ルベン、マナセの半部族です。荒野で40年さまよった後で、イスラエルの民が初めてこの地に踏み入った時、アンモン人がここに住んでいました。このアンモン人は、アブラハムの甥、ロトの子孫でした。神様はイスラエルの民に彼らと戦って土地を取り上げることを禁じられました。アンモン人はなお、その土地に住んでいました。

 その王ナハシは、大変悪い残酷な人でした。彼は軍隊を集めて、ヨルダン川の東側にあるイスラエルの町の一つ、ヤベシ・ギレアデという平和な町に攻めて来ました。ヤベシ・ギレアデの人々は軍隊の攻めてくるのを見て恐れました。そして、ナハシと平和条約を結ぼうとし、もし殺さなければ喜んでナハシのしもべになりましょうと言いました。ところがこの異教の王は、これに満足しないで「もしみんなの目を私にえぐり取らせたら戦わないでおこう」と言いました。ヤベシ・ギレアデの民はこの言葉を聞き恐怖におののきました。彼らはナハシ王に「我々に7日の猶予を与えて、援軍を求めさせてください。もし7日たっても援軍がどこからも来なければ、右の目をあなたにえぐらせましょう。」と言いました。

 使者は援助を頼みにサウルの住んでいる町の近くまでやって来ました。ところが指導者がいないため、この町の民は力強い王を相手にとても戦えないと思いました。彼らは嘆き悲しみました。ヤベシ・ギレアデの民はどんな恐ろしい目にあうでしょう。
 ちょうどその時、サウルは父の畑から町に入って来ました。そして「民が泣いているのはどうしたことか」と尋ねました。事の次第を聞いたサウルは大変怒り、「悪いアンモン人たちめ、神の民の目をえぐり取れるものではないことを見せてやろう。」と言いました。

 神の霊がサウルにくだり、彼は大そう勇敢になりました。彼は1くびきの牛を取り、それを切り裂き、その切り身をイスラエル中に「誰であってもサウルとサムエルに従ってでない者は、この牛のようにされる」というおふれと一緒に配りました。イスラエル中の男の人は、急いでサウルの所に集まりました。指導者が出た今となっては、彼らは喜んでヤベシ・ギレアデの人を助けようとしました。サウルは33万の軍を率いることになりました。

 「明日あなたがたは救いを得る」という慰めの知らせをもってヤベシ・ギレアデからの使者は帰って行きました。この知らせを聞いた町の人々はどんなに喜んだことでしょう。
 翌日、サウルは自分の兵を三つの隊に分け、急いでヨルダンを川を渡ってヤベシ・ギレアデの町に向いました。朝早く、イスラエル軍はアンモン軍と戦い、ナハシの軍は二人の人が一緒にいるものがないほどに散りじりにされてしまいました。この大勝利でサウルは民の英雄となりました。民は自分達をこうも巧みに導いてくれたこの立派な指導者のためなら何でもしようと思いました。

 この大勝利の前には、民の全部がサウルを喜んで受け入れていたわけではありませんでした。ある者ははっきりと、彼に王となってもらいたくないと言っていました。民が「王さま万歳」と叫んだ時もこれらの人々は沈黙していました。他の者が新しい指導者に贈り物を持っていったときも、この人々は「サウルは良い王にはなるまい。」と言いました。

 アンモン人に対する素晴らしい勝利の後、喜び勇んだ民は「サウルを王にしたくなかった人々はどこでしょう。その人々を引き出して殺しましょう。」と言いました。これに対してサウルは「主は今日イスラエルに救いを施されたのですから、今日人を殺してはならない」と申しました。
 しかし、民は自分たちの喜びをあらわすために、何かしなければならない気持ちで一杯でした。彼らは勝利を与えられた神様にいけにえを捧げるためギルガルに行きました。そこでサウルを公に王としました。


王国をなくしたサウル

 モーセがイスラエルの民をエジプトから砂漠を通って導き出した時、弱っていたり年をとっているため皆より遅れてしまった者たちを追い打ったあの残酷なアマレク人のことを皆さんは覚えているでしょう。
 モーセは、アマレク人と戦うためにヨシュアを派遣し彼自身は山の上で祈りました。モーセが手を上に上げている間はイスラエル人が勝っていました。しかし、腕が疲れて上に上げられなくなるとアマレク人が優勢になりました。アロンとホルはモーセの腕を支えとうとうイスラエル人が勝利を得ました。
 しかし、神様はこのため非常にアマレク人を怒り、いつまでも彼らと戦うと言われました。

 何年かサウルがイスラエルを治めた時、神様からの知らせをもってサムエルがやってきました。「主は私を遣わし、あなたに油を注いでその民の王とされました。主はあなたがアマレク人を撃って、その全ての持ち物を滅ぼし尽くすことを命じておられます。何も残してはいけません。」とサムエルは言いました。サウルは、自分の兵を集めて数えました。すぐ戦えるものは21万人いました。この軍隊を連れてサウルはアマレク人の住む荒野へと向いました。

 大きないくさがあり、イスラエルが勝ちました。サウルはアマレクの王アガクを捕らえ、神様の命じたようにアマレク人をみな殺しました。ところが動物もみな殺すようにという神様の命令は守りませんでした。サウルやその兵隊たちは残す価値のないものだけを殺し、良い家畜は残しておきました。
 その夜、神様はサムエルに「私はサウルを王としたことを悔いる。彼は私に従っていない」と言われました。これを聞いてサムエルは嘆きました。彼は一晩中主に祈りかけました。

 翌日サムエルは、朝早くサウルの所に行きました。サウルは「どうぞ主があなたを祝福されますように。私は主の言葉を実行しました。」と言って迎えました。
 サウルはサムエルに誉められる事を予測していたのですが、預言者は「それならば私の耳に入るこの羊の声と、私の聞く牛の声はいったいなんですか」と尋ねました。「人々がアマレクの所から引いてきたのです。民はあなたの神、主に捧げるために羊と牛の最も良い物を残したのです。その他は我々が滅ぼし尽くしました。」とサウルは答えました。

 そこで年老いた預言者は「昨夜、主が私にいわれたことをあなたに告げましょう。」と言いました。「言ってください」とサウルは言いました。「たとい自分では小さいと思っても、あなたはイスラエルの王ではありませんか。それなのに、どうしてあなたは主の声に聞き従わなかったのですか。主はあの罪人なるアマレク人を滅ぼし尽くすように言われたのに、あなたはそれをしていません。」とサムエルは続けました。

 サウルは、自分を弁護して「私は主に従いました。アマレクの王アガクをここに連れて来ましたが、民はみな滅ぼし尽くしました。確かに私の兵たちは、羊や牛の最も良い物を残しましたが、それはこのギルガルで主に捧げたのです。」と言いました。
 サムエルは、首を振って「主はそのみ言葉に聞き従うことを喜ばれるように、犠牲を喜ばれるであろうか。従うことは犠牲に勝る。あなたが主に従わなかったので、主はあなたやあなたの家族を王の位から退けられた。」と言いました。
 それでもなお、サウルは自分のしたことの重大さがわからないで「私は悪いことをしました。これから私と一緒に帰って、主を拝ませてください。」と言いました。サウルは神様が自分の不従順を見逃され、罰を受けないですむと考えたようです。

 これに対してサムエルは「いいえ、あなたは主に従わなかったので、私はあなたと一緒に帰りません。主はあなたを王位から退けられました。」と答えました。預言者が去ろうとすると、サウルはその着物を捕らえました。このためサムエルの上着は裂けました。するとサムエルは「この着物が裂けたように、主はあなたからイスラエルの王国を裂き、もっと良い隣人に与えられた。」と預言しました。

 そして、私の所にアガクを引いてきなさい。」と命じました。アマレクの王は「今まで私を生かしておいたのだから、今になって殺されることはないだろう。」と思い足取りも軽くやって来ました。しかし、サムエルは「あなたの剣は多くの女に子供を失わせた。そのようにあなたの母も子を失うことになる。」と言ってアガクを殺しました。
 サムエルは、ラマにある自分の家に帰り、二度とサウルに会いに来ませんでした。彼はサウルが神の民の良い指導者でなくなったことを嘆きました。

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