キリストへの時間 2013年3月10日(日)放送 キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

山下正雄(ラジオ牧師)

山下正雄(ラジオ牧師)

メッセージ: 神の国は近づいた

 おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
 この3月は、キリスト教会にとって特別なシーズンです。それはイエス・キリストの受難と復活を覚える時だからです。といっても、キリストの復活を記念するイースターの日付は、年によって移動しますから、毎年3月にイースターの日が来るというわけではありません。いずれにしても、今年のカレンダーでは、3月最後の日曜日がキリストの復活を記念するイースターの日となっています。それで、今月のキリストへの時間では、イエス・キリストのご生涯を手短にご紹介しています。

 さて、前回はイエス・キリストがヨルダン川で洗礼者ヨハネから洗礼を受けて、公の生涯に入られたことを学びました。ルカによる福音書によれば、イエス・キリストがおよそ30歳の頃のできごとでした。当時の平均寿命からいえば、遅いデビューといえるかもしれません。
 ガリラヤ湖の周辺で活動を開始されたイエス・キリストが、最初にお語りになった言葉はこうでした。
 「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」(マルコ1:14)

 キリストの教えの中心には「神の国」というキーワードが何度も出てきます。王としての神のご支配が完全なものとなる救いの世界が、まさに近づいているというメッセージです。また、神の国に入るということと、永遠の命を持つ、ということは、ほとんど同じ意味で使われます。神の国に入るということは、言い換えれば、永遠の神のご支配のもとにいつまでも生きる、ということですから、永遠の命と神の国へ入れられることとが、同じように語られるのは当然です。

 さて、イエス・キリストがガリラヤで神の国の福音を述べ伝え始めた頃の出来事の中に、こんなエピソードがあります。それはルカによる福音書の4章16節以下に記されていることですが、お育ちになったナザレでの出来事です。
 ある安息日に、ユダヤ人たちが礼拝のために集まる会堂にイエス・キリストが入られたときのことです。預言者イザヤの巻き物が渡され、そこにはこう記されていました。
 「主の霊がわたしの上におられる。貧しい人に福音を告げ知らせるために、主がわたしに油を注がれたからである。主がわたしを遣わされたのは、捕らわれている人に解放を、目の見えない人に視力の回復を告げ、圧迫されている人を自由にし、主の恵みの年を告げるためである。」

 この預言者イザヤの言葉を朗読されたあと、イエス・キリストは「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した」とおっしゃいました。つまり、キリストの時代から700年ほど前に語られた預言者イザヤの言葉が、今まさに成就したというメッセージです。もちろん、自分とは関わりのないところで成就したというのではありません。その意味するところは、ご自分こそイザヤが語る主の霊が注がれた僕であり、ご自分こそ貧しい人々に福音を宣べ伝えるために遣わされた僕であるという意味です。主の恵みの年が今まさにキリストと共に始まろうとしている喜ばしいメッセージです。
 この「主の恵みの年」は「捕われ人の解放」「視力の回復」「圧迫からの自由」といった言葉で具体的に示されていますが、イエス・キリストがもたらしてくださる最大の自由は、罪からの解放です。それは罪に対する裁きからの解放であると同時に、悪しきことに傾く自分の心からの解放です。キリストを通して神がわたしたちの側に立ってくださるのですから、あらゆる不安からの解放でもあります。

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