キリストへの時間 2013年1月20日(日)放送 キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

山下正雄(ラジオ牧師)

山下正雄(ラジオ牧師)

メッセージ: 聖書

 おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
 日本語を代表する翻訳聖書といえば、日本聖書協会が発行している新共同訳聖書と、日本聖書刊行会が発行している新改訳聖書が挙げられます。日本のプロテスタント教会の礼拝で使われている聖書は、ほとんどこの二種類といってもよいくらいです。この二つだけで、発行以来、累積頒布部数は二千万部を軽く超えているのではないかと思います。そして、それぞれ、2016年の発行を目指して、現在新しい翻訳が手掛けられています。キリスト教人口が国民のわずか1%にも満たないこの国で、毎年十万単位で頒布され、さらに新しい翻訳を手掛けるというのは驚きとしか言いようがありません。

 先ほど日本のキリスト教人口は1%にも満たないと言いましたが、洗礼は受けていなくても、キリスト教に関心のある人たちはその数倍いるのではないかと思います。何年か前にアメリカの世論調査会社が行った日本人の宗教調査では、キリスト教を信じると答えた人が6%にも上ったと報告され、実際のキリスト教人口とあまりにもかけ離れていて、日本のキリスト教会を驚かせたことがありました。しかし、聖書の頒布数の多さを考えると、あながち誇張された数字ではないようにも思います。何よりもこのキリスト教番組を聴いている方たちが、皆洗礼を受けたキリスト者ではないことは分かっていますから、案外日本の国でもキリスト教は予想を越えて広がりつつあるのかもしれません。

 さて、話を元に戻して、聖書の話ですが、わたしが聖書をはじめて読んだのは中学を卒業して目標も定まらずにぶらぶらとしていた時代でした。特別に宗教に関心があって聖書を読んだというのではなく、たまたま姉の書棚にあった聖書を手にして読み始めたというのがきっかけです。わたしがイメージしていた聖書の内容と、実際の聖書の内容とでは、あまりにも違っていて驚いたのを、今でも思い出します。

 けれども、だからといって聖書に失望したというわけではありませんでした。当時のわたしにとっては、はじめは神話と歴史としか思えなかった聖書でしたが、その特別の世界にどんどん引き込まれていくのを感じました。気がつけばあっという間に読み終えていました。キリスト教について理解できたというには程遠い浅い読みでしたが、しかし、聖書を通してまことの神に出会ったような思いでした。

 きっとこの体験はわたし一人の特殊な経験ではないはずです。聖書を手にして読んだ多くの人たちが、この書物の中に人間の営みではなく、神の働きを感じ、自分にも働きかけてくださる神を身近に感じてきたに違いありません。聖書がいまだに世界のミリオンセラーであるその理由は、わたしにはよく理解できます。その人の生涯にわたって影響を与え続ける本というものは、そう多くはありません。聖書は読めば読むほど、自分自身の生き方について数多くの示唆を与える本です。この聖書をラジオをお聴きのあなたにも是非読んでいただきたいと思います。

 ところで、聖書を読む際に大切なことは、とにかく聖書の世界に没頭することです。自分自身を聖書の舞台において、自分がその世界に生きている人のような気持ちになって読むことです。客観的に、覚めた目で読むのはそれからでも遅くはありません。どんな書物でもそうだと思いますが、最初からつまらない、くだらないと思って読んだのでは何も理解することはできません。信じる信じないは別として、聖書の世界に身を置いて読み進め、その世界にひたって味わえば、かならず見えてくるものがあるはずです。
 この番組を聴いてくださっているあなたにも、ぜひ一度自分の手に聖書をとって読んでいただきたいと思います。きっとあなたのこれからにとって素晴らしい発見がなされるはずです。

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