いかがお過ごしですか。ラジオ牧師の山下正雄です。
旧約聖書の詩編を読んでいると、ぎょっとする言葉が出てきます。たとえば、詩編63編10節にはこう記されています。
「わたしの命を奪おうとする者は必ず滅ぼされ 陰府の深みに追いやられますように。」
神を信じる者の言葉とは思えないような、激しい祈りです。本来なら、敵を愛し、迫害する者のために祈るのが、まことの神を信じる者の取るべき態度でしょう。
しかし、よくよくこの詩編を読んでみると、この人は神にすべてを委ねた上でこう祈っているのです。祈りが聞かれなければ、自分が神になり代わって敵を滅ぼしてしまおうとはしていません。
人間の大きな誤りの一つは、結果を神に委ねようとはしないで、自分で自分の望む結果を出そうとしてしまうことにあります。自分の正義が神の正義に変わってしまい、自分こそが神のように正しく、相手は間違っていると決めつけて、行動してしまうのです。
この詩編の激しい祈りには、神を待ち望む信頼が満ち溢れています。結果はどうあれ、神の御心の正しさにすべてを委ねて、心に平安を得ているのです。
今日の言葉…「あなたは必ずわたしを助けてくださいます。 あなたの翼の陰でわたしは喜び歌います。」詩編63編8節