いかがお過ごしですか。新座志木教会の杉山です。
少し前のことですが、ぼんやりとテレビを見ておりますと、中島みゆきさんの『ファイト』という歌が流れているのが耳に入りました。歯を食いしばってでも戦おうという励ましが伝わってきました。
けれども、その歌詞の中に出てまいります、つらい戦いを戦う人を笑っているだけのように見える人にも、実は別の面があって、本当はその人もつらい現実や不条理と戦っていたのかもしれない、という視点がどこかで抜けてしまっているのではないかとも思わされました。
ところで聖書には「なんという空しさ」という言葉で始まる不思議な書物(コヘレトの言葉)があります。作者は知恵の人と名高いソロモン王と言われております。彼は、人の労苦も、歴史の繰り返しも、皆むなしいと結論します。さらに「同じ一つのことが善人にも悪人にもよい人にも清い人にも不浄な人にもいけにえをささげる人にもささげない人にも臨む」。と言います。
このような言葉は一見、すべては不条理で諦めるしかないといっているかのようにも聞こえます。けれども彼は最後にこう言います。
「『神を畏れ、その戒めを守れ』これこそ、人間のすべて」。(コヘレトの言葉12章13節) 人の語るどのような知恵や正義も相対的なものであって、最後によりどころとなるのは人以外のもの真の神以外にはおられない。これが知者の出した結論でした。