いかがお過ごしですか。ラジオ牧師の山下正雄です。
司法の象徴として、よく天秤がデザインに用いられています。これはギリシア神話のテミスやローマ神話のユスティティアに由来するものです。それらの神々は法や正義の女神として知られ、手には剣と天秤を持っています。日本の最高裁判所の玄関にもこの神話に由来する像が置かれています。なるほどこの天秤が示すバランスは公平と平等に通じるところがあります。
ところで、旧約聖書の箴言には天秤についてのこんな格言があります。
「偽りの天秤を主はいとい 十全なおもり石を喜ばれる。」
天秤もおもりも、重さを計るときには欠かせない道具です。もし商売人がこの道具を意図的に狂わしてしまったらどうでしょうか。例えば90グラムしかないものを100グラムあるように見せかける秤があれば、一割多い儲けを簡単に生み出すことができます。聖書がその不正を指摘するまでもなく、どこの世界に行ってもこのような不正は許されるはずがありません。
この箴言の言葉は文字通りの秤やおもりに限定して考える必要はありません。聖書の神はあらゆる偽りの基準をいとわれます。公平と平等に反する不均衡を社会にもたらすからです。公正と正義を愛されるこの神を意識して生きるようにと聖書は求めています。
今日の言葉…「偽りの天秤を主はいとい 十全なおもり石を喜ばれる。」箴言11章1節