熊田なみ子のほほえみトーク 2012年5月22日(火)放送

熊田 なみ子(スタッフ)

熊田 なみ子(スタッフ)

小さな朗読会153「勝利と敗北」

 イスラエルの陣営は、エリコの町のすぐ近くでした。町の人は、イスラエル人の来るのを見て、昼も夜も町の門を閉めてしまいました。誰も出入りできなくなりました。神様がイスラエルの民を助けられなかったなら、とても町には入れなかったでしょう。しかし主はどうすれば町が占領できるかを教えられました。婦人、子供は、ギルガルの陣営に留まりました。男子だけがエリコと戦うために行きました。始めに何千もの兵隊が、整然と行進しました。それから、七つのラッパを持った七人の祭司が続き、その後から、肩に契約の箱を担いだ祭司が四人続きました。そして最後に、また何千人もの兵隊が来ました。

 この大行列がエリコの町のまわりを回ったのです。祭司達は、ラッパを吹きながら回りましたが、兵隊たちは一口も声を出しませんでした。この大きな町を一周するのには相当の時間がかかりました。一度回ると、兵隊たちはそれでおのおのの天幕に戻りました。城壁に家を構えていたエリコの人々は、イスラエルが矢を打ってくるといけないので窓を板で打ちつけたりしていましたが、隙間からイスラエル人が何をしているかを覗きました。すると、ねずみのように静かに兵隊たちが町のまわりを回り、七人の祭司がラッパを鳴らしているのが見えました。それから彼らが自分たちの陣営に帰っていきます。翌日、またラッパが聞こえるので、エリコの民は隙間から覗き見していました。すると、イスラエルの兵隊が町を一周し、また、町を攻撃しないで陣営に帰っていくのが見えます。同じことが6日間続くと、彼らはこわいのも忘れてしまいました。「町のまわりを行進するだけなら大したことはない」と気をよくしました。

 七日目の朝、兵隊たちは非常に早く行進を始めました。一回のかわりに、七回まわるからです。彼らは六回、ラッパを吹く音のほかは、黙々とまわりましたが、七回目になると、祭司たちはいきなり、長く、大きく、ラッパを吹き鳴らし、ヨシュアは振り向いて手をあげ、「呼ばわりなさい。主はこの町をあなたがたに賜った。」と叫びました。そこで一瞬どの人もみな手をあげ、精一杯の声で叫びました。するとその時、城壁がものすごい音と共に崩れました。エリコは、イスラエルの兵に開放されたのです。エリコの人は、驚きのあまり、身を救うすべも知りませんでした。兵たちは町に走りこみ、剣や槍でエリコの民全部をはじめ、牛、ろばまでも皆殺しました。神様は一切のものを殺すように命令されていたのです。ただ、ラハブとその家族、それに彼女の持ち物だけが助かりました。これ以後、ラハブはイスラエル人と共に住み、一生、真の神様を礼拝しました。

 神様は兵隊たちに、町にあるものは一つも取ってはいけない、と命令されたのですが、一人、アカンという人は、大変美しい着物と積み上げられた銀、それに大きな金の塊を見て欲しくなりました。こっそりと、それらを自分の天幕に運び、泥の床に穴を掘りそこに隠しました。彼は誰にもわからないと思いました。兵隊たちは見つけた金、銀、それに青銅や鉄の器はみな大切にしてーこれらは当時貴重なものでしたー幕屋にある主の倉に納めました。彼らは町を焼きました。エリコの民の悪はあまりひどかったので、神様は彼らの家々も滅ぼしてしまわれました。家には偶像や悪い絵が一杯飾ってあったのでしょう。神様はこんな家にイスラエルの民を住まわせたくありませんでした。エリコは二度と再建されないかもしれません。ヨシュアはエリコを再建する人を呪い、その人の長子は土台を据える時、末の子は町が完成したときに死ぬと言いました。

 エリコの近くに、アイという小さな町がありました。ヨシュアは、この町について調べるために何人かを遣わしました。その人たちはヨシュアのところに戻り、「アイは小さな町ですぐ征服できます。兵隊を大勢送る必要はありません。二、三千で十分です。」と言いました。エリコの輝かしい勝利の後なので、アイを倒すのはわけないとイスラエル人たちは考えました。ところが思いがけないことになりました。アイの人々はイスラエルを負かし、36人を殺しました。イスラエルの兵は勇気を失い、アイの人々の前から逃げました。自分たちの兵がアイの人々に負かされたことを聞いて、イスラエルの民は大そう恐れました。ヨシュアも力を落としました。彼は自分の服を破り、頭から塵を被りました。イスラエルの長老達も同じことをしました。そして、契約の箱の前に平伏しました。こうして、一日泣きつつ、祈りつつ、彼らは平伏しました。ヨシュアは、「われわれはヨルダン川の向こうに安んじて留まれば良かったのです。ああ、主よ。イスラエル人が既に敵に背を向けた今となって、私はまた何を言いえましょう。この地に住む全てのものは、イスラエル人の負けたことを聞いて、われわれを恐れなくなり、われわれを攻め囲みわれわれを殺すでしょう。ああ神様、われわれが征服されたら異教徒はあなたのことを何と思うでしょう。われわれの神は弱い神と思うでしょう。」と言いました。ヨシュアはすっかり勇気を失ってしまいました。神様がモーセを助け、自分を助けると約束されたことを果たしておられないように思えました。

 神様は、ヨシュアの嘆きをお聞きになりましたが、ヨシュアに向かって、厳しく、立ち上がるように言われました。イスラエル人が負けたはっきりした理由があるのです。彼らは罪を犯したのです。神様が触ってはいけないといわれたものを、エリコから出しているのです。彼らは幾つかの物を盗みうそをついたのです。これがアイの人々に負けた理由でした。イスラエルの民の間からこの呪われたものが除かれなければ神様は戦いを助けてくださいません。アカンは、金や銀を盗んだのでした。金、銀は全て主の倉に納められるはずでした。誰にも金銀を自分の物にする権利はありません。アカンはまたうそをついていました。彼は美しい衣服や銀や金を、自分の天幕の下に埋めていました。彼はヨシュアや、他の民を騙していました。騙すことは一言もうその言葉を口に出さなくても、うそをつくのと同じです。私たちが口に出してものを言わなくても、神様は私たちの心の中をごらんになれます。そして、神様はアカンが偽っていることをご存知でした。主は朝、全員をご自分の前に集めれば、誰が罪を犯しているのかを示すといわれました。

 朝早く、祭司たちはラッパを鳴らしました。イスラエルの部族は一つずつ出てきました。ユダの部族があらわれると、罪を犯した人がこの部族にいることを、主はヨシュアに教えられました。次にユダに属する全氏族が進み出ると、ゼラ人の氏族が示されました。ゼラ人の氏族を家族ごとに進みださせたところ、ザブデの家族が当たりました。そして、ザブデの家族からは、ザブデの孫のアカンが選ばれました。これでヨシュアも全部の民も、アカンが罪を犯したことを知りました。ヨシュアは彼に「わが子よ、あなたのしたことを今、神に告げなさい。あなたのしたことを今、私に告げなさい。隠してはならない。」と言いました。アカンは、「私はイスラエルの神、主に対して罪を犯しました。私は、エリコの分捕りもののうち、美しい衣服と、たくさんの銀と、大きな金の塊を見て取りました。私の天幕の下の土に隠しました。ヨシュアは、人をアカンの天幕にやると、その通りに衣服や、金銀が出てきました。ヨシュアはアカンに「なぜあなたはわれわれを悩ましたのか。主は今日あなたを悩まされるであろう。」と言いました。イスラエルの民は、アカンとその息子、娘、牛、ろば、羊、天幕など彼の持ち物全部と、彼の取った衣服や銀、金を近くの谷に運び、そして、アカンとその家族のものを石で打ち殺しました。死んだ後、イスラエル人は一切のものを焼き払い、灰の上に石を積みあげ、一つの石塚を築きました。アカンは天国へ行ったでしょうか。神様しかそれを知りません。しかし、アカンは自分の罪を告白したので、天国に行ったかもしれません。私たちが罪を犯しても、それを悔いれば「神は真実で正しいかたであるから、その罪を赦し」てくださいます。

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