突然の大震災、大津波から一年。瞼に焼き付いて離れない大海原を走る大津波。信じられない光景がその直後に起こり、全てを飲みつくしていきました。そしてあってはならない原発事故。二重三重の苦難が襲い、なんと私達は小さな存在なのか、儚い存在なのか…。現地を訪れ、瓦礫の中に立ち尽くし、私もまた多くの方々と同じように言葉を失っていました。そして、リスナーの方からの一枚のハガキに呼び覚まされるように被災地に新番組「希望のことば」を届ける道が開かれました。全てを失ったリスナーからの叫び…番組が始まるとまた次々にお便りが届けられました。そして、私自身もまた昨年秋、元気に山歩きに出かけた義兄を突然事故で失ってしまったのです。予告なくいきなり襲ってくる悲しい知らせでした。
3月11日「希望のことばコンサート」が開かれました。会場には仮設住宅で暮らす多くの皆様をお招きしました。まだまだ避難生活の苦しみは続きます。「一人の小さな手、何もできないけど、それでもみんなの手と手を合わせれば何かできる」が震災後何度も歌われたそうですね。こんな小さな私、何も出来ないと誰もが思いましたが、深い悲しみの中から繋がった新たな絆が生まれ、もう一度苦しくても一緒に生きていこうとの思いを与えられた方々も多くあります。
日本中がこの一年を思い巡らしています。まだまだ続く苦しい道のりを思うとき、私は今日はいったいどんな言葉をあなたに届ければよいのだろうかと悩みます。あの大震災から皆がそうですが、どんな言葉も空しいと感じてしまうのです。そのような中「希望のことば」を私もスタジオで、ラジコでと何度も聴きながら思わされました。こんな小さな私達、私達には力がないけれど、確かな希望は神様からいただけるのだということを。どうしてそれがわかるかといえば、真実の神のことば「聖書」の語ることに心の耳を傾けるときにです。先ほどの「一羽のすずめ」を聴きながらも思いましたね。私達がイエスさまの語られた言葉を噛み締め、心に刻みつけながら生きるとき希望が生まれるのです。ルカによる福音書12章で「…そうだ言っておくが、この方を恐れなさい。五羽の雀が二アサリオンで売られているではないか。だがその一羽さえ、神がお忘れになるようなことはない。それどころか、あなたがたの髪の毛までも一本残らず数えられている。恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている。」とイエスさまがおっしゃいます。アサリオンというのは、ローマの通貨のことで、一日分の賃金(一デナリオン)の十六分の一です。イエスさまはこんな小さな私達一人ひとりをも決して見捨てることはないのです。なんと有難いことでしょう。
さて、この一年各地で朗読された言葉がありましたね。あなたも耳にしたことがあったかもしれません。今日はこの一年を思いながらやはりこの言葉もお伝えしたいと思いました。それは、「最後だとわかっていたなら」(ノーマ・コーネット・マレック作、佐川睦訳、サンクチュアリ出版)です。本の訳者の佐川さんは原発事故の起こった福島のクリスチャン。子供を失ったアメリカ人女性が作ったこの詩は同時多発テロ事件追悼でも番組や集会で朗読されたとのこと。新聞でも紹介されました(2012年1月17日・朝日新聞)。 くまだなみこ
最後だとわかっていたなら
あなたが眠りにつくのを見るのが 最後だとわかっていたら
わたしは もっとちゃんとカバーをかけて
神様にその魂を守ってくださるように祈っただろう
あなたがドアを出て行くのを見るのが 最後だとわかっていたら
私はあなたを抱きしめて キスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて 抱きしめただろう
あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
最後だとわかっていたら
私はその一部始終をビデオにとって 毎日繰り返し見ただろう
あなたは言わなくても わかってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言でもいい・・「あなたを愛している」とわたしは伝えただろう
たしかにいつも明日はやってくる でもそれがわたしの勘違いで
今日ですべてが終わるのだとしたら
わたしは 今日 どんなにあなたを愛しているか伝えたい
そして、わたしたちは 忘れないようにしたい
若い人にも 年老いた人にも
明日は誰にも約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを
明日が来るのを待っているなら 今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら あなたは今日を後悔するだろうから
微笑みや、抱擁や、キスをするための ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと 忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと
だから 今日
あなたの大切な人たちを しっかりと抱きしめよう
そして、その人を愛していること いつでも いつまでも
大切な存在だということを そっと伝えよう
「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や「気にしないで」を伝える時を持とう
そうすれば もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから