ごきげんいかがですか。千城台教会の田上尚美です。
橋浦尚美という名前で絵を描いています。
わたしは今年の3月、新宿の東郷青児美術館で開かれた展覧会に出品しました。今年は出品された作品の中に、あの3月11日の東日本大震災を期につくられた作品がいくつもありました。
わたし自身も、震災を見聞きし感じたことを、画面に表現しようという思いに駆られました。ここでその絵をお伝えするのは難しいのですが、「コンタクト」と名付けたその作品は、左に少女が横たわり、右側には木製の手が転がっています。わたしはその手を震災で犠牲になった多くの命の象徴として描きました。
どうして震災というとても悲惨なことが起こり、今なお苦しんでいる人々がおられるのか、神様は黙ってそれを見過ごされるのか、という疑問の答えをわたしたちは容易に見つけることは出来ません。
最近、また遠藤周作の「沈黙」を読みました。本の中で、主人公の司祭が置かれた状況は、もちろん今とは違います。でも司祭も神様の沈黙に悩み続けていました。そして、とうとう「主よ、あなたがいつも沈黙していられるのを恨んでいました」とキリストに告白します。すると、「わたしは沈黙していたのではない。一緒に苦しんでいたのに」とキリストは答えます。「わたしはお前たちのその痛さと苦しみを分かち合う。そのためにわたしはいるのだから」と。