いかがお過ごしですか。ラジオ牧師の山下正雄です。
能力に違いがあり、その結果として得るものに違いが生じ、格差が生れるということは、ある程度避けて通ることができません。しかし、その格差があまりに広がりすぎて、人並みの努力をしたくらいでは貧しさから自力で這い上がれないほどの格差を生み出しているとすれば、それは決して健全な社会の構造とはいえません。
大変残念なことですが、世の中はその方向に確実に進んでいるように感じられます。そしてもっと残念なことですが、わたしがそう指摘したところで、世の中の仕組みは簡単に変わらないということです。
ほとんどの人は格差社会から受ける恩恵のことしか頭にないのかもしれません。しかし、誰もが格差社会の恩恵を受ける可能性があると同時に、誰もが格差社会がもたらす不利益の犠牲になる可能性もあるのです。そうであればこそ、すべての人が敬虔な宗教心を身につけることができるようにと願いながら、聖書の言葉を伝えています。
人の心や価値観が変わらなければ、世の中が変わることもないからです。大変気の長い話のように聞こえるかもしれませんが、格差の大きなこの社会にあって、誰もが隣人愛によって動かされることを祈ってやみません。
今日の言葉
「互いに愛し合うことのほかは、だれに対しても借りがあってはなりません。人を愛する者は、律法を全うしているのです。」ローマの信徒への手紙13章8節