いかがお過ごしですか。ラジオ牧師の山下正雄です。
能力主義という言葉は何と魅力的な言葉でしょうか。年齢や性別によって待遇が決まるのではなく、どんな人でも自分の能力によって、その進む道が開かれていくのです。
けれども、この能力主義は能力の差がなければ成り立たない制度です。能力は磨くことで伸ばすことができるといっても、どんな人でも同じように伸びるのであれば、そもそも能力主義は成り立ちません。そうなると、いつもふるいにかけられることを心配して、平穏な気持ちでいることができません。
そもそも人間に備えられた能力は人によって多種多様です。しかし、それらの能力の中で、必要とされている能力は社会のあり方によって実は限られています。能力主義は誰でもチャンスがあるようで、実はそうでもないのです。
せっかくの能力主義もそれを人間の幸福のために役立てるのは、なんと難しいことかと思います。もし能力主義が人間の幸福の役に立つとしたら、それはチャンスをつかんだ人が、どれほどその能力とそこから得たものとを他者の幸福のために用いるか、そのことにかかっているように思います。
今日の言葉
「あなたは、『自分の力と手の働きで、この富を築いた』などと考えてはならない。むしろ、あなたの神、主を思い起こしなさい。」申命記8章17節18節