山下正雄（ラジオ牧師）

メッセージ： 妬み

　いかがお過ごしですか。ラジオ牧師の山下正雄です。
　人間が持っている感情で、妬みというのはかなり高度な感情だと思います。「高度な」と言ったのは、妬みは人間がたった一人しかこの世に存在しなければ、おそらく抱くことのない感情だからです。人間が社会の中に置かれるときにだけ、妬む気持ちが生まれてるという意味で、妬みは高度な感情です。
　また、妬みは、社会や共同体が存在すれば必ず生じるものではありません。その共同体の中に格差が生じ、その格差のために享受できる幸せにも格差が生じたときに、妬む気持ちも生じます。そう言う意味で、妬みは高度に発展した社会の中でおきる感情です。

　しかし、同じ格差社会から生じる感情でも、妬みと向上心とでは、その向かう方向がまったく違います。妬みはその人自身に対しても相手に対してもネガティブで破壊的な方向に向かいます。それに対して、向上心は人をポジティブな方向へと動かしていきます。

　しかし、妬む気持ちを持つわたしたちの心に対して、聖書はもっと大きなものに気がつかせてくれます。それは、人にあるものが自分には「ない」という欠乏感ではなく、今与えられている神の恵みの大きさです。恵みをお与えくださる神が共にいてくださることを知るときに、他人を妬むことの馬鹿らしさを知ることができるのです。

　今日の言葉
「物が有り余っていても不足していても、いついかなる場合にも対処する秘訣を授かっています。わたしを強めてくださる方のお陰で、わたしにはすべてが可能です。」フィリピの信徒への手紙4章12節、13節

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