ある日、彼が近づいて来て「僕がわかります?」と言われたとき、すぐ思い出しました。高校生だった頃のE君。教会の仲間たちといつも楽しい時を過ごしていました。ピアノも上手で見事にあの難しい「革命」を弾いてくれたのです。その後、可愛い女性と知り合って幸いな結婚にも導かれました。赤ちゃんも誕生しましたし、私にとってのE君の思い出は、誰もが羨む幸せ一杯の人生でした。
その後、お仕事でお引越しもされ、会うこともなくなり、全く交流も途絶えていました。ところが突然の再会の時が来たのです。もう10年以上過ぎているでしょうか…。時が急に昔に戻ったような錯覚でした。でも今目の前のE君は、もう元気な昔の彼ではなかったのです。その姿に衝撃を受けました。脳腫瘍が発見されて手術。再発してまた入院。そして退院。家族を抱え、働き盛りの今、仕事のことであれこれ悩んでいるとのことでした。右手も思うように動かず、もうピアノも弾くことは出来なくなったとのこと。度重なる辛い現実を知って私の中に「神様、なぜですか?」という気持ちが湧きあがってきます。
会話の中で彼がこう言いました。「この病で、僕は初めて神様のことがわかったのです。それまでは信じていたけれどよくわかっていませんでした…」淡々と語ってくれるその姿に、生ける真の神様がE君を鍛えておられることも知りました。
そして、話していくうちに不思議な繋がりへと導かれたのです。「病みつつ祈りつつ」の本を何度も読んでいらっしゃったのです。私は、番組で、この本の抜粋メッセージを2枚のCD にして、リスナープレゼントにしていることを話しました。E君は是非聴きたいと言ってくれました。E君の中に起こった変化について、今度お便りが届くことになりました。きっとこの出来事を神様があなたに届けるように私をE君に再会させてくださったのです。 くまだなみこ