御機嫌いかがですか。花小金井教会の牧師、川瀬です。
「主は羊飼い、わたしには欠けることがない。」
最も有名な詩編23編の最初の言葉です。なぜダビデは「わたしには欠けることがない」と言うことができたのでしょう。この詩編の作者であるダビデはイスラエルの王さまです。確かに王の住む宮殿には何でもそろっています。豪華な部屋、豊かな食卓、柔らかい着物、金銀宝石、多くの召使たち。しかし詩編23編には宮殿をイメージする言葉は一つもありません。あるのは、青草の原っぱ、谷、小川、そして羊と羊飼い。
つまり、ダビデは王さまになってからの宮殿の生活ではなく、自分が羊飼いであった昔のことを思い浮かべて、この美しい詩編を歌ったのです。羊飼いはイスラエルでも最も貧しい職業の一つです。世界で始めてのクリスマスのとき、つまり皇帝アウグストゥスの人口調査のとき、なぜ羊飼いたちは野原で羊を飼っていたのでしょうか。税金を払うことのできない貧しい羊飼いたちは、登録をする必要がなかったからです。
そして、かつて羊飼いであったダビデも、何もない貧しい羊飼いの生活の中で、本当に必要なものは神様が必ず供えてくださる、「わたしには欠けることがない」という経験をしたのです。多くのものに囲まれて生活をしているときには、「あれが欠けている、これが足らない」と思えるのは不思議ですね。