いかがお過ごしですか。ラジオ牧師の山下正雄です。
聖書の言葉に「知識は人を高ぶらせるが、愛は造り上げる」という言葉があります。
「知識は人を高ぶらせる」という言葉は、知識についてのネガティブなイメージです。真面目に学問を志している人にとってはカチンとくる言葉かもしれません。もちろん、ここで言っていることは、知識の探求を否定しているわけではありません。その当時のコリント教会にいたある人たちに対する痛烈な批判の言葉です。
その人たちは「我々は皆、知識を持っている」と豪語する人たちでした。だから、そのような知識は人を高ぶらせるだけなのです。
それに対して、パウロは「愛は造り上げる」と述べます。ここで使われている「造り上げる」という言葉は、もともと「家を建て上げる」という意味です。家を建て上げる作業というのは、一日だけのやっつけ仕事で終われるものではありません。そこにはあらゆる知識と経験が動員されます。もちろん、家を建て上げるには計画も見通しも必要です。
パウロはその言葉を今人間に対して比喩的にあてはめています。人間を建て上げていく、そういうものとして、愛の重要性を説いているのです。愛のあるところに、建徳的な人間関係が築き上げられていくのです。
今日の言葉…「『我々は皆、知識を持っている』ということは確かです。ただ、知識は人を高ぶらせるが、愛は造り上げる。」コリントの信徒への手紙一 8章1節