初夏の訪れ、「どんぐりの森のおいしいカフェ」にご招待いただきました。お住まいは、トトロの森のような350坪の敷地。国際結婚された韓国人のママ友、Sさんから「ストーリーテラー」としてお話を頼まれました。さぁ何にしましょう?微笑みライブステージ?ですからね。あれこれ考えるのもとっても楽しいことです。グリム?アンデルセン?いや日本昔話?まだまだお話が溢れてきます。絵本も楽しいですし…。ポエムリーディングもいいですね。あれこれ考えたその結果「星の銀貨」(グリム童話)を選びました。出会う人たちにパンや帽子、チョッキ、スカート、シャツ、すべて与えながら歩いた少女のストーリー。最後に星の銀貨が降ってきて…気がつくと少女は「新しい上等の麻のシャツ」をきているという短いお話です。
実は随分以前に初めて読んだとき、「どうして麻なのかしら?」と思ったのです。汗ばむ季節、麻のシャツも着るようになります。また、リネン(亜麻)はエコロジー素材として人気です。麻の文化史などちょっと調べてみたら面白いかもしれません。チグリス、ユーフラテス川沿いに芽生え、人類最古の繊維と言われ、古代エジプトでは「月光で織られた生地」とも。光沢があるからでしょうね。また、聖書の世界でも亜麻布が出てきます。ギリシャ、ローマ人の間では、上質で、純白なリネン(亜麻布)が重宝されていたとのこと。イエス様の葬りに登場(「香料を添えて亜麻布で包んだ」(ヨハネ19:40)」します。
そしてある時、ヨハネ黙示録を読んでいて、「なるほどそうだったの?」と自分なりに納得してしまいました。それは、このような聖書箇所です。
「ハレルヤ、全能者であり、わたしたちの神である主が王となられた。わたしたちは喜び、大いに喜び、神の栄光をたたえよう。子羊の婚礼の日が来て、花嫁は用意を整えた。花嫁は、輝く清い麻の衣を着せられた。この麻の衣とは、聖なるものたちの正しい行いである。」(黙示録19:6−8)。
グリムの世界を詳しく知りませんが、この「麻の衣」はこのような理由だったのではないでしょうか?
「共有地の悲劇」という1968年にアメリカの生態学者ギャレット・ハーディンが発表した論文には、「個人が自分の利益を合理的に追求した結果、集団としては破滅的な事態を招く、このことの解決には、人間の価値観か道義性の概念を変えるしかない」(ナショナルジオグラフィック4月号)とあることを知りました。読めなくて残念。こんな時もっと英語を勉強しておけば良かったと思いますね(5月4日の時にちょっとお話した水のお話もこの4月号にあります)。世界に住む人々がどんな価値観に生きているか、地球の姿が私たちに問いかけています。グリム童話を読んであれこれ思い巡らしました初夏のひとときでした。 くまだなみこ