いかがお過ごしですか。ラジオ牧師の山下正雄です。
イエス・キリストの十二人の弟子の中で、一番たくさんのエピソードが残されているのは、シモン・ペトロです。そのペトロに、よみがえったキリストは問いかけました。
「ヨハネの子シモン、この人たち以上にわたしを愛しているか。」
しかも、三度も同じことを繰り返し尋ねられたのです。
もちろん、それには訳がありました。かつてペトロはイエス・キリストに向かって「たとえ、御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません」と大見得を切ったことがありました。それにもかかわらず、いざキリストが捕われると、三度もキリストと自分との関係を否定したからです。
このキリストの問いかけにペトロは「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたがご存じです」と控えめに答えました。以前のペトロであれば、「もちろんですとも。たとえ他の人があなたを愛さなくなっても、わたしはあなたを愛し通します」とでも答えたことでしょう。
自分の弱さを知ったペトロは、キリストの御前で背伸びする空しさを知ったのです。何もかも御存じのキリストの前で、大きくもなく、小さくもない、あるがままの自分が受け入れられている恵みを知ったのです。
今日の言葉…「主よ、あなたは何もかもご存じです。わたしがあなたを愛していることを、あなたはよく知っておられます」ヨハネによる福音書21章17節