いかがお過ごしですか。ラジオ牧師の山下正雄です。
旧約聖書に登場するモーセは、その生涯の終わりにイスラエルの人々に向かって、神の掟を子供たちにも教えて守らせるようにと勧めました。その勧告の言葉の中で、モーセは神の与えた律法の言葉をさして「それは、あなたたちにとって決してむなしい言葉ではなく、あなたたちの命である」と言い切りました。
そもそも、人間だれしも長く生きるうちに蓄える有益な言葉というものはたくさんあると思います。しかし、「それは、あなたたちにとって決してむなしい言葉ではなく、あなたたちの命である」と言い切れるほどの言葉となると、そう多くはないでしょう。
実はモーセがまだ若かった頃、自分の仲間がエジプト人から虐待されるのを見かねて、正義感からその虐待するエジプト人を殺めたことがありました。しかし、モーセは仲間に感謝されるどころか、人を殺したモーセのやり方は嫌悪の的となってしまったのです。自己流の正義のむなしさを誰よりも知っているモーセだからこそ、何に聞き従うべきかを誰よりも雄弁に語れるのです。
今日の言葉…「あなたたちは、今日わたしがあなたたちに対して証言するすべての言葉を心に留め、子供たちに命じて、この律法の言葉をすべて忠実に守らせなさい。それは、あなたたちにとって決してむなしい言葉ではなく、あなたたちの命である」旧約聖書 申命記32章46節47節