本屋さんが大好きな私。先日もふと立ち寄った書店の絵本コーナーがとっても素晴らしくて、備え付けの可愛いテーブルと椅子に座り込んで大喜び。時のたつのも忘れてしまいそうになります。棚にあった1冊の本と出合い、それが11月の絵本となりました。今月は、新しく私の本棚に加わったものです。
幼い頃読んだ「幸福の王子」(バジリコ株式会社)。寒い冬になると、「マッチ売りの少女」と「幸福の王子」は思い出される物語なのです。その懐かしい物語が美しい絵(建石修志・画)と、新しい翻訳(曽野綾子)で、昨年のクリスマスに出版されていたのですね。「王子とつばめが紡ぐ無償の愛の物語、現在(いま)だからこそ、多くの人に読んでもらいたい不朽の名作」とあります。「どの作家にも、この一作を書き終えたら死んでもいい、と思う作品があるはずである。」と後書きにもあります。なんだかすごく力が入っている感じですが、そんなお話は重たくてイヤ!なんて今日は言わないで、最後まで聴いてくださいね。
晩秋、深まる秋の夜の静けさの中で、一人で開き味わってみたいような雰囲気の大人の絵本。冬を迎えるこの季節になんだかとても似合っているようです。自分一人の静かな優しい時間も今日を生きるのに必要ですよね。
物語は、とてもシンプルです。銅像になった幸福の王子とツバメの出会い。そこから始まる「受けるよりは与える方が幸い」(使徒言行録20:35)というイエスさまご自身がおっしゃられたみことばに思いを馳せるようなストーリー。でも今回思ったことはこども向き童話の翻訳は、ずいぶん内容を省いてしまっていますね。読みながら作品が本当はこのようだったのだということを知って驚きました。子どもの時に読んだ物語は、そのほんの一部だったのです。
以前「ピノッキオ」という作品で、その翻訳を比べて解説してくださった方の文章を読みましたが、その時も原作に忠実な翻訳から受ける物語の迫力はやっぱり違うということがはっきりわかりました。
さて、今回も物語の内容を改めて知ることができました。面白いことに、ツバメは、川にそよぐ葦に恋をするのですね。それでエジプトへ仲間と飛び立つことが出来なくなってしまうところなど初めて知りました。今月のプレゼント絵本(抽選2)ですのであなたもどうぞメールでお申し込みくださいね。内容を楽しみにしていてください。あなたの本棚に置いてくださると嬉しいです。
最後に「この世で一番尊いものを二つ私のところへ持って来なさい」と言われた神様。天使は、幸福の王子の割れた心臓とつばめの屍骸を持っていくのです。神様は天使にこうおっしゃいました。「お前はいいものを選んだ。私の天国の庭では、このつばめは永遠に歌い続けるだろうし、わたしの黄金の町で「幸福の王子」はずっと私と共にいるだろう」(44ページ)。