いかがお過ごしでしょうか。湘南恩寵教会の鈴木牧雄です。今日も最初に、聖書の言葉に耳を傾けたいと思います。マタイによる福音書5章39節からです。
「わたしは言っておく。悪人に手向かってはならない。だれかがあなたを右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。・・・・・・求める者には与えなさい。」
このキリストの言葉を、非暴力無抵抗主義と理解する人がいます。もちろん暴力はいけません。また、頬をなぐって侮辱してくるような悪人に手向かっても、むだであるばかりか、悪人と同じになってしまうだけです。しかし、だから泣き寝入りしてでもお人好しであれ、というのではありません。右の頬をなぐられたのに左の頬をも向けることほど反抗的な態度はないのではないでしょうか。特にこの時の相手は悪人です。このキリストの言葉は無抵抗の勧めではなく、むしろ悪に対しては毅然とした態度を示すべきであるとの教えです。
それで、「求める者には与えなさい」という積極的な教えが続いているのです。この言葉も、博愛主義に立って慈善活動に徹しなさいと教えているのではありません。求める者には与えなければなりませんが、相手が求めているものを与えなさいとは命じられていません。特に悪人の理不尽な要求に応える必要などなく、むしろ真理を与え正義を返していく。これがキリストに従う者の生き方です。なぜなら、キリストご自身、私たち罪人に、十字架の身代わりの死によって真理を正義を示し、愛を全うしてくださったお方だからです。