おはようございます。山下正雄です。
旧約聖書に登場するモーセといえば、十の戒め「十戒」で有名な人物です。そのモーセの生涯を描いた映画には『十戒』というそのもののタイトルの映画があります。チャールトン・ヘストンがモーセを演じた有名な映画です。古い映画ですが、今でもレンタルビデオのお店には並んでいますので借りて観ることができます。
さて、この映画はとても有名であるために、旧約聖書にはあまり馴染みがない人でも、この映画のお陰でモーセと言う人物や十戒という言葉を知っている人は少なくないと思います。けれども、十戒そのものを目にした耳にしたことがあるという人は、案外少ないかもしれません。せっかくですから十戒そのものをお読みしましょう。
「わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。あなたはいかなる像も造ってはならない。上は天にあり、下は地にあり、また地の下の水の中にある、いかなるものの形も造ってはならない。あなたはそれらに向かってひれ伏したり、それらに仕えたりしてはならない。わたしは主、あなたの神。わたしは熱情の神である。わたしを否む者には、父祖の罪を子孫に三代、四代までも問うが、わたしを愛し、わたしの戒めを守る者には、幾千代にも及ぶ慈しみを与える。あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。みだりにその名を唱える者を主は罰せずにはおかれない。安息日を心に留め、これを聖別せよ。六日の間働いて、何であれあなたの仕事をし、七日目は、あなたの神、主の安息日であるから、いかなる仕事もしてはならない。あなたも、息子も、娘も、男女の奴隷も、家畜も、あなたの町の門の中に寄留する人々も同様である。六日の間に主は天と地と海とそこにあるすべてのものを造り、七日目に休まれたから、主は安息日を祝福して聖別されたのである。あなたの父母を敬え。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる。殺してはならない。姦淫してはならない。盗んではならない。隣人に関して偽証してはならない。隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛、ろばなど隣人のものを一切欲してはならない。」
いかがでしたでしょうか。十戒といってもどこからどこまでが一つの戒めなのか、一度聞いただけでは十の戒めに区切ることは難しかったかもしれません。ただ、聞いていてお気づきかもしれませんが、前半のほとんどは神様とわたしたちの間柄に関わる戒めでした。「わたしの他に何者をも神としない」と言う戒めや「いかなる像も作ってはならない」という戒めがそれでした。それに対して後半はわたしたち日本人にとっても耳慣れた教えだったと思います。「父母を敬え」「殺してはならない」「姦淫してはならない」「盗んではならない」などなどです。
イエス・キリストはこの十戒を二つに要約して、前半を神を愛する戒め、後半を隣人を愛する戒めとおっしゃいました。人間にとって生きる上で大切なことは、神を愛することと人を愛すること、このことに尽きるとおっしゃっているのです。十戒はまさにそのために与えられているのです。これはユダヤ人として生きる上で大切なことなのではなく、またクリスチャンとして生きる上で大切なことなのでもありません。そうではなく人間として生きる上で大切なことなのです。
結局、聖書がわたしたちに求めていることは、この十の戒めに命じられているような生き方を通して、人間として豊かに成長し一層成熟していくことなのです。どうぞ一度、ご自分で聖書を紐解いて、この十の戒めの一つ一つの言葉を味わってみてください。そうすれば、必ず豊かに生きる道を見出すことができます。