【高知放送】
【南海放送】
おはようございます。高知市の上町4丁目にある、改革派高知教会牧師の小出昌司です。
今日から、アドベントの第二週に入ります。近づいてくるクリスマスを、うきうきしながらお待ちになっていることだと思います。
人間には皆、「生まれた日」と「生まれた場所」があります。私は80歳ですから、私の友達の中には、戦争中でしたから、防空壕の中で生まれたという人がいましたが、今では、ほとんどの方が産科病院で出産しています。以前、病院にお祝いに行った時に、まるでホテルのような設備の整ったお部屋であったので、驚かされたことがありますが、自分が「いつ、どこで生まれたのか」という情報は、両親や家族などから聞かされたことであるはずです。
神の御子キリストが「イエス」という名の男の子としてお生まれになったのが、いつ、どこであったのかという情報を、聖書の中に探してみますと、生まれた時については、正確な日付が記録されているわけではありません。ですから元々、教会ごとに違った日にお祝いしていたようですが、同じ日に共に祝うことができるように、西暦300年過ぎに「12月25日」と定められていますから、一般のカレンダーにも、12月25日のところに「クリスマス」と書かれています。
「どこで生まれたのか」ということについては、聖書の福音書記者のマタイもルカも、「ユダヤのベツレヘム」(マタイ2:1、ルカ2:4)と記録していますし、ルカはこの町のことを、「ダビデの町」として紹介しています。紹介されている通り、この町は、昔のイスラエル統一王国の二代目の王さまであった「ダビデ」の出身地であるのです。
イエスさまがお生まれになった当時、全領土で行われた住民登録は、日本の国勢調査とは違って、それぞれの先祖の故郷に出向いて登録しなければならなかったのです。ですから、ガリラヤのナザレの町に住んでいたヨセフは、マリアと婚約中であった時にマリアが身重になったので、密かに彼女を去らせようとしたのですが、神の御使いから聖霊によって身籠ったことを知らされたので、マリアを妻として迎え入れ、出産間近のマリアを連れて、遠く離れたダビデの町ベツレヘムに向かったのです。
しかし、このことはイエスさまが生まれる700年以上も前に、「ミカ」という預言者によって伝えらていた、「エフラタのベツレヘムよ お前はユダの氏族の中でいと小さき者。お前の中から、わたし(たち)のために イスラエルを治める者が出る。彼の出生は古く、永遠の昔にさかのぼる。」(ミカ5:1)という神さまの御計画の実現のために、神さまによってなされた移動であったのです。
ところが、ベツレヘムの町は、住民登録のためにユダヤの全土から集まった多くの人々で大混雑でしたから、数少ない宿はどこも満室で、ヨセフとマリアが泊まれる場所はなかったのです。この町で、イエスさまの誕生のために提供された場所は、なんと宿屋の粗末な家畜小屋であったのです。ここで、身重のマリアは月が満ちて、初めて男の子を産んだのです。
救い主メシヤとして誕生された神の御子が、きらびやかな宮殿ではなく、粗末な家畜小屋で生まれて、飼い葉桶に寝かされていることの中には、神として人々から賞賛されることを捨てて、人間としてお生まれになったイエスさまの「謙遜」の姿が表わされていますし、ダビデ王の出身の町で誕生されたことの中には、イエスさまが、預言者ミカの伝えた「王」として生まれたことが表わされています。
御使いや預言者たちによって伝えられた神さまの御計画通りに、最初のクリスマスに、ダビデの町で「謙遜な王」としてお生まれになったイエスさまは、成人したのちに、その身を十字架に置き、その身を犠牲にして、神さまに対する私たちの罪を執り成してくださった、救い主キリストであるのです。このことこそ、最初のクリスマスに人間に与えられた、最初のクリスマスプレゼントであるのです。
ですから、私たちがクリスマスになすべきことは、神さまが独り子を犠牲にして提供してくださっている救いを、手を出して受け取ることであるのです。あと二週間、四つ目のローソクに光が灯される今年のクリスマスには、お近くの教会に行って、救い主イエスさまの誕生日をお祝いし、ご自分の心の手で、神さまの救いというクリスマスプレゼントをお受けになってください。