【高知放送】
【南海放送】
おはようございます。高知市の上町4丁目にある、改革派高知教会牧師の小出昌司です。
今日から12月。12月といえば、待ち遠しいのはクリスマスですね。キリスト教会では、11月30日に一番近い日曜日から、「アドベント」という期間に入ります。
クリスマスの前になると、玄関のドアに、木の枝やツタで編んだ輪に、常緑樹の葉っぱや赤い実をつけた「アドベント・クランツ」と呼ばれるリースを飾るおうちがありますね。これは、元々は教会やクリスチャンのおうちで行われていた習慣ですが、教会によっては、このアドベント・クランツに4本のローソクをつけて、週が変わるごとに一本づつ火を点けていきます。そして、4本目のローソクに火が点いた日が、クリスマス礼拝の日であるのです。
アドベントという言葉には、「来る」とか「到着する」という意味がありますから、「何かがやってくる」というニュアンスを持っています。何がやってくるのか。それは、神のひとり子であるキリストです。神の御子キリストが、「イエス」という名前の男の子としてこの世に誕生されるのを待つのです。
そして、聖書の中で、「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。」(ルカ2:11)といわれている、イエス・キリストというお方の誕生日を祝うのです。それが、キリストの祭を意味するクリスマスであるのです。
このことは、主イエスが誕生される700年も前に、神さまの言葉を人々に取り次ぐ働きをしていた「イザヤ」という預言者が、「主が御自ら あなたたちにしるしを与えられる。見よ、おとめが身ごもって、男の子を産み その名をインマヌエルと呼ぶ。」(イザヤ7:14)と言っていた、神さまのご計画の実現であるのです。
神さまは、このご計画を実行するために、「マリア」というおとめをお選びになり、ご自分の御使いをマリアのもとに遣わして、「あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。」(ルカ1:31)と言われました。まだ結婚もしていないおとめのマリアが驚いて、「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」(ルカ1:34)と言ったことが、聖書のルカ福音書の初めの方に記されています。
常識の枠を超えた出来事を信じることができないのが、人間です。ですから、マリアがこの突然の知らせに驚いたのは無理のないことですが、驚くマリアに向かって、御使いはさらに、「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。」(ルカ1:35)と言ったのです。
マリアはどうしたでしょうか。マリアは御使いから、年老いた親類のエリサベトという女性が長い間子供ができなかったのに、もう妊娠6ヶ月にもなっていることを知らされ、「神にできないことは何一つない。」(ルカ1:37)という極め付きの言葉を掛けられたので、「お言葉どおり、この身に成りますように。」(ルカ1:38)と答えたのです。
同じことが、まだ婚約中であった夫になるヨセフの方にも伝えられています。こちらは、マタイ福音書に記されていますが、ヨセフも、夢の中でマリアと同じように、神さまの御使いから、「マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」(マタイ1:21)といわれて、このことが、イザヤが預言していた、神さまによる救いの御計画の実現であることを知らされたのです。
イエスという名前は、ユダヤ人の中によくある「救い」という意味の名前ですが、神さまは、イエスという名前の名付け親となっただけではなく、「救い主として生まれる」という誕生の目的まで伝えています。「インマヌエル」というのは、「神はわたしと共におられる」という意味の言葉ですから、神さまは、弱い私たちのためにいつも共におられる救い主として、イエス・キリストをこの世に誕生させてくださったのです。
このことをマリアのように、「お言葉通り、この身になりますように」と受け入れることができた時、キリストがあなたのお心の中に、インマヌエルの君として誕生してくださるのです。