おはようございます。長野まきば教会の牧野信成です。
マタイによる福音書の冒頭に掲げられたイエス・キリストの系図の中に、その名を残した女性の一人は、「ルツ」です。「ボアズはルツによってオベドを、オベドはエッサイを、エッサイはダビデ王をもうけた」(マタイ1:5-6)とありますように、ルツは、ダビデ王の祖先にあたります。
「ルツ記」という小さな書物に、彼女の物語が記されていますが、ルツはもともと、モアブ人の娘でした。それが、イスラエル人であるナオミの息子のもとに嫁いで来て、主なる神への信仰を持つようになりました。ナオミが故郷のベツレヘムに帰るのに同行して、国を離れ、彼女にとっては、外国での暮らしが始まりますが、夫には死に別れて、独りで姑を養わなければならず、かなりの苦労を背負うことになりました。
しかし姑のナオミは、ルツをこよなく愛して、幸せにしてやりたいと願うのでしたが、その頃、ルツが落穂ひろいにでかけた畑が、ナオミの親戚であるボアズの畑でした。ボアズのやさしさに触れて、ルツも安心して暮らすことができるようになり、主の掟に従う信仰を一つにする二人は、やがて結婚することになります。
飢饉という災害によってすべてを失ったナオミの家庭に、異教徒であるモアブ人の娘が残され、しかし、そのルツという娘によって、イスラエルの信仰者の家庭が慰めを得て、さらにはそこから、イスラエル最大の王が誕生する、という物語です。マリアから生まれたキリストには、こうして異邦人である女性の血が流れていることを福音書は隠さずに伝えます。