久保浩文（松山教会牧師）

メッセージ： 隠されている宝

【高知放送】
　　　　　

【南海放送】
　　　　　

　おはようございます。松山教会の久保浩文です。
　聖書の中で、「神の国」という言葉が出てきます。神の国は、この地上の何物にも代えがたい、貴重で高価な宝物です。主イエス・キリストは「天の国は畑に隠された宝のようなものです。」と言われました（以下マタイ13:44-46参照）。現代の私たちは、高価な貴金属や有価証券などの貴重品は、銀行に預けるか、金庫の中に厳重にしまっておくでしょう。この当時は、自分の財産を保管するために、貴重品などを壷などに入れて、土を深く掘って埋めておくことが一般的でした。

　しかし、財産の持ち主が突然に亡くなってしまったような場合は、財産が隠されているという事実すら、家族にも誰にも知られずに放置されてしまったり、持ち主自身が、隠した場所を忘れてしまうこともありました。そして、ある日偶然に、誰かが田畑で働いていて、思いがけずにその宝を掘り当てるということもあったのです。もちろん、この人は、無断で他人の畑を耕したのではありません。恐らく、この土地の所有者の小作人か農夫であると思います。この宝は全く思いがけない発見であったのです。

　当時は、畑の中から出た物は、発見した人の物ではなくて、畑の所有者の物になりました。そこで、見つけた人は、宝をそのまま隠しておいて、喜びながら帰ります。彼は、この宝が、全財産を投げ打ってでも、手に入れるだけの価値のある物であることを知っているのです。そして、宝を手に入れるために全力を尽くします。彼は、持ち物をすっかり売り払って、宝が埋まっている畑そのものを手に入れようとします。この宝にどれほどの価値があるか、お分かりでしょう。

　では、この宝とは何でしょうか。宝とは、神の国です。神を知り、イエス・キリストを知り、信じて救われる恵みのことです。たとえ私たちが、この地上で巨万の富を築いたとしても、この地上において最高の地位と名誉を手にしたとしても、その財産や地位で、神の国を手に入れることは出来ません。神の国という宝の価値は、人間の持っている全てを注ぎ込んでも到底及ばない絶大な物です。

　パウロという人は、「わたしにとって有利であったこれらのことを、キリストのゆえに損失と見なすようになったのです。そればかりか、わたしの主キリスト・イエスを知ることのあまりのすばらしさに、今では他の一切を損失とみています。キリストのゆえに、わたしはすべてを失いましたが、それらを塵あくたと見なしています。」（フィリピ3:7-8）。パウロは、この地上の最高のものを手に入れた人ですが、それらもキリスト・イエスを知る、信じるという絶大な価値の前には無きに等しいということです。多くの人達は、宝の真の価値が分からずに、この世の虚しいことに多くのものを注ぎ込んでいるのです。それはその宝が隠されているためです。イエスの教えが語られても、招きがなされても、それに無関心なのはそのためです。

　しかし、あなたはイエス・キリストを探し続けて下さい、求め続けて下さい。私たちが熱心に探し求めれば、必ず見出すことが出来ます。主イエス・キリストを知れば知るほど、その素晴らしさが分かってくるはずです。主イエスは、決してあなたから遠くに離れてはおられません。むしろ、主イエスは、あなたが探し求めるよりも先に、あなたを今も探しておられます。「求めなさい。そうすれば与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。」（マタイ7:7）と、主イエスは約束しておられるのです。