キリストへの時間 2022年2月20日(日)放送  キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

小澤寿輔(高知教会牧師)

小澤寿輔(高知教会牧師)

メッセージ: 与え手と受け手

【高知放送】
     

【南海放送】
     

 おはようございます。高知市上町4丁目にあります日本キリスト改革派高知教会の小澤寿輔です。
 皆さんが今手にしている聖書は、後ろの方に地図がついているでしょうか。もしついていたら、「新約時代のパレスチナ」(聖書地図6)というページを開いてみてください。そこに、北と南に二つの湖があって、一本の川でつながっています。北の方はガリラヤ湖、南の方は死海といいます。この地図からはあまりよく分からないかもしれませんが、実際、ガリラヤ湖は、海抜マイナス213メートル、世界で二番目に低い所に位置する淡水湖です。私も訪れたことがあるのですが、周囲は緑で覆われて青々としています。水はとてもきれいで、多くの魚が生息し、自然の宝庫と言えます。他方、死海は、海抜マイナス430メートル、世界で最も低い所に位置する塩の湖です。そこにも行って浸かったことがあるのですが、死海は、魚などは1匹も生息できず、水辺の生き物は何も見当たりません。あるのはヘドロだけです。文字通り「死の海」です。

 では、この二つの湖は、なぜそこまで違うのでしょうか。どちらの湖も、同じ水源を持っています。もっと北のヘルモン山の雪解け水が、その水源となっています。では、何が違うのでしょうか。ガリラヤ湖は、ヘルモン山から流れ込んだ水を、今度はヨルダン川に流し出しているのですね。つまり、受けた水を、自分自身も流し出しているので、そこに水の循環ができます。それで、水が新鮮なので、命に満ち溢れているのですね。他方、死海は、ガリラヤ湖からヨルダン川を通って流れ込んだ水を受けますが、海抜マイナス430メートルで、それより低い場所がないので、水を流し出す所がありません。その結果、流れ込んだ水分がそこで蒸発し、塩分だけが残ります。死海の水の塩分濃度は、約30パーセントと言われています。それは、海水の10倍の濃度です。そのような所では、バクテリアくらいしか生息することはできません。

 この二つの湖は、とても大切なことを、私たちに教えてくれています。人には、「与え手」と「受け手」という二つのタイプの人がいます。「与え手」とは、友人とでも配偶者とでも、お互いに助け合うことが好きで、与えること、助けることに喜びを感じる人です。「与え手」は、たとえ相手の弱点を見つけても、がっかりしません。相手をそのまま受け入れ、足りないところを満たしてあげたいと願います。相手の足りない点を見る度に、もっとその人のためにできることがあるのではないかと思って、喜んで努力します。お金や物だけではなく、自分の時間、与えられた知恵、愛の言葉、笑顔、親切など、自分の持っている良いものを豊かに与える人は、口から出てくる言葉に感謝が多く、喜びに溢れています。
 
 他方、「受け手」の人は、いつも自分中心に物事を考えます。「ちょうだい、ちょうだい」と、相手に要求することが多く、「あれして、これして」と相手に自分の足りない点を満たして欲しいと願います。こういう人は、願っていたことと現実のギャップに失望したり、挫折したりすることが多くあります。あらゆることを不満に思い、不幸と感じます。自分が不幸なら、一緒にいる人たちも、もちろん不幸になります。結局、自分ばかりか、周囲にいる人たちまでも不幸にしてしまいます。

 このように、同じ環境下に置かれても、幸せな人になるか、不満だらけの人になるかは、その人が「与え手」であるか「受け手」であるかに大きく関わってくるのです。受けるだけの生き方の人は、先ほどの死海のように、命や実りのない状態になってしまいます。使徒パウロも、次のように言いました。「あなたがたもこのように働いて弱い者を助けるように、また、主イエス御自身が『受けるよりは与える方が幸いである』と言われた言葉を思い出すようにと、わたしはいつも身をもって示してきました。」使徒言行録20章35節の御言葉です。

 与えると、物質的に自分の持っているものが減ってしまうのではないか、という心配が先だってしまいます。それが不思議なことに、与える一方でも、枯渇することはないのです。なぜでしょう。神が豊かに与えて下さるからです。与えても、また上から与えられるので、いつも祝福が循環しているのです。

 皆さんは、ガリラヤ湖のような、受けて与える人生を生きていますか。それとも、死海のように、受けるだけの人生を生きていますか。神から豊かにいただいて、神と人とに豊かに与えていく祝福の人生を歩んでみませんか。



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