キリストへの時間 2021年10月31日(日)放送  キリストへの時間宛のメールはこちらのフォームから送信ください

大宮季三(芸陽教会牧師)

大宮季三(芸陽教会牧師)

メッセージ: ひっくり返らない希望

【高知放送】
     

【南海放送】
     

 おはようございます。芸陽教会の大宮季三です。
 今年は1年の延期を経て、東京オリンピックが行われました。ウイルス感染の影響を鑑みて、賛否両論の中での開催ではありましたが、日本のメダルラッシュに元気づけられた方が多くいらっしゃったのではないかと思います。

 今回のオリンピックは選手たちにとって、モチベーションを保つことが非常に難しい大会でした。一年の延期となり、しかもギリギリまで中止となるかもしれない。開催されたとしても無観客の中で競技をしなければならない。そういう状況の中で、モチベーションを保ち続けてメダルを得たメダリストの姿に心を動かされました。選手たちは希望を失わず、希望を抱き続けてきたからこそメダルを獲得することができました。

 ですが、希望というのは時として残酷です。それが叶わないと分かった時の落胆はとてつもなく大きいものです。メダリストになる、オリンピックに出る、という希望を抱きながらも、新型コロナウイルスの影響により選考会にすら出場できなかった選手や、オリンピックの本戦を辞退せざるを得なかった選手たちのことも話題になりました。希望は一瞬にして失望に変わる時があります。

 希望を失うことを失望と言い、希望が絶たれることを絶望と言います。読んで字の如く、望みがあるからこそ、それを失い、望みがあるからこそ、それが絶たれたときに大きく落ち込みます。オリンピックだけではありません。私たちの人生のあらゆるステージにおいて、同じようなことが起こります。受験、恋愛、就職、結婚、健康…大きな望みを思い描いてもその通りにいかず、失望し落胆した経験を皆様もお持ちではないかと思います。残念ながら私たちが抱く希望は、失望、絶望と表裏一体の関係にあります。

 しかし聖書は、真の神が与えてくださる希望は「失望で終わらない」と語ります。信仰とは、信頼をおくことです。私たちは、何かに信頼することに消極的になりがちです。信頼すれば、裏切られてしまう。だからこそ信頼することに慎重になります。いい話ほど「嘘かもしれない」と警戒しなければならず、信頼をすることに怯えてしまいます。

 しかし、神を信頼した結果裏切られて終わることはないんだ、と聖書は語ります。真の神が与えてくださる希望は裏返ることはありません。神が与えてくださる希望とは、イエス・キリストによって与えられる永遠の命です。どれだけこの地上で失望し、絶望しようとも、イエス・キリストの十字架によって立てられる永遠の命という希望は必ず成し遂げられます。

 希望を持つとき大抵の場合は理由があります。「これだけ頑張ったから、受験に合格できるだろう」とか、「これだけ頭を下げたから、取引がうまくいくだろう」と希望には根拠があります。神が与えてくださる希望の根拠は、神ご自身の犠牲です。イエス・キリストご自身が神の子であるにも関わらず、死という一番深い所へと降りられたことが、希望の根拠です。

 私たちが抱く望みは、いつも失望や絶望と表裏一体です。しかし、地上でどのような失望や絶望を味わおうとも、たとえそれが死に至ったとしても、神の子イエス・キリストの犠牲という確かな根拠の故に、神の与えてくださる希望はひっくり返って終わることはありません。



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