ごきげんいかがですか。ラジオ牧師の山下正雄です。
「社会正義」という言葉を聞いて、ラジオをお聴きのあなたはどんな印象を持たれるでしょうか。「社会正義」なんて口にしても、そんなものは何の意味もないと、すっかり冷めた思いをお持ちでしょうか。確かに人類の願いとは裏腹に、社会には不公平や不平等がはびこり、法の下での平等など、いとも簡単に踏みにじられるように思われます。
詩編第10編が書かれた時代の社会もまたそうでした。貪欲で傲慢な者たちが、弱い立場の者たちからだまし取ったり、搾取する世の中でした。しかもたちの悪いことに、口では神の名を讃えながら、行いでは、神を侮るようなことを平気でしているというのです。
そんな腐敗しきった社会を見て、この詩編の作者は言います。「なぜ逆らう者は神を侮り、罰などはない、と心に思うのでしょう。」(詩編10:13)これは真理をついた言葉です。確かに社会正義の実現には政治の力や市民運動が欠かせません。健全な倫理観や道徳観も必要です。しかしそれにもまして大切なのは、神への畏れの心です。神への畏れがない社会では社会正義は育ちません。
きょうのみ言葉…「主よ、あなたは貧しい人に耳を傾け、その願いを聞き、彼らの心を確かにし、みなしごと虐げられている人のために、裁きをしてくださいます。」詩編10編17節18節