おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
旧約聖書「創世記」の中にこういう言葉があります。「神は御自分にかたどって人を創造された。」(1:27)この「神のかたち」は人類の堕落によってさえも、失われたわけではありませんでした。実際、聖書は、堕落後の人類についても、人は神にかたどって造られたがゆえに人を殺す罪は重い、と説いています(創世記9:6参照)。そこでキリスト教会では、どんな人であっても、神のかたちに造られたがゆえに尊厳ある存在である、という考えが根強くあります。
こうした考えが、人は生まれながらにして侵すことのできない人権を持っていると考える「天賦人権思想」に直接影響を与えたかどうかは定かではありません。しかし、少なくともキリスト教会では、神のかたちに造られた人間の尊厳と人権尊重の考えとは密接に結びついています。
近代国家の憲法では、人権の尊重は、重要な柱の一つです。それは国家の成立よりも前から存在する権利であって、国家が国民に与えて初めて成立する権利ではありません。むしろ、初めからある権利を国家権力が踏みにじらないように定められたのが憲法です。生まれながらに持っている権利という考えがどこかに消えてしまうとき、人権思想は簡単につぶされてしまいます。
今日の聖書の言葉「神は御自分にかたどって人を創造された。」創世記1章27節