いかがお過ごしでしょうか、国立聖書教会の野島邦夫です。
今週は、「人間は天使か悪魔か?」という問いに答えるかたちで、私たちの心について考えています。
現実の人間は全く善いとはとても言えませんし、逆に全く悪いと言うのは言い過ぎでしょう。良い所もありますし悪い所もあります。しかしここで、「人間ってそんなものさ」と悟り顔で言わずに、もう少し考えてみましょう。
優れた人間観察家の意見はとても参考になります。彼らは人間を、善・天使性と、悪・悪魔性の両極端の間を左右に振子のように揺れ動く存在と見なします。ふだんは真ん中あたりをわずかに揺れている。それが何かのきっかけで、悪魔性が支配的になったり、天使性が顕れる、という様に。これは気分でコロコロ変わる程度のことではなくて、もっと根本的な動きです。人間の心を動きにおいて捉えるところが、彼らの聴くに値する点です。
しかしこれだけでは人間は十分理解できません。この世では、善より悪が目立ちますし、自分の心の中で悪への誘惑は、善への誘惑より強いのはなぜか?しかし他方、善い事と悪い事の区別を頭ではある程度できますし、悪いことをすれば良心が咎めるのはなぜか?
マザー・テレサのことを聞いて殆どの人が賞賛しますが、暴力過激集団のニュースを聞いて、賞賛する人はいません。なぜか?私たちの心は明らかに、行うことはできなくても、「善への憧れ」を持っているのではないでしょうか。