熊田なみ子のほほえみトーク 2014年8月26日(火)放送

熊田 なみ子(スタッフ)

熊田 なみ子(スタッフ)

小さな朗読会180「悪い時代のはじまり」
(「母と子の聖書旧約下」78章)

 ソロモンはあれほど賢かったのに、ただ一つ、大変愚かな悪いことをしてしまいました。その失敗が彼を衰えさせました。ソロモンは、大勢の外国の女と結婚しました。彼は7百人の妻を持ち、その多くは、外国の王の娘でした。彼の最初の妻はエジプト王の娘でした。ソロモンはまた、異教のカナン人の女たちをめとりました。神様は、イスラエルの民に異教の女と結婚してはいけないと、厳しく命令されたことを皆さんはおぼえているでしょう。ソロモンは結婚のことで、神様の命令に反しました。

 ソロモンが年を取ってくると、その異教の妻たちは、彼の心を本当の神様から、異教の偶像に向けさせようとしました。ソロモンは、自分のモアブ人の妻たちのために、彼らのいやらしい神ケモシを礼拝する場所を作ってやりました。またエルサレムの近くで、彼はアンモン人の妻たちに、その残酷な神モロクを礼拝することを許しました。神様は、そのことで、ソロモンを大そう怒られました。主は二度もソロモンに直結して話しておられるのに、王はその神様を見捨ててしまったのです。

 王が主の戒めを守らなかったので、神様は王国を彼から奪われるのです。しかし、ダビデのために神様はそれをソロモンの時代にではなく、ソロモンの息子の時代に実現すると言われました。神様は、ソロモンの息子に一つの部族だけは治めることを許されました。というのは、ダビデの子孫が長く治めると主が約束しておられたからです。
 ソロモンの家来にヤラベアムという有能な人がいました。ある日、ヤラベアムが野を歩いているとき、神様は彼の所に預言者アヒヤを遣わされました。預言者は、ヤラベアムに近づいて、自分の着ていた新しい服をつかんで、12切れに裂きました。これを見たヤラベアムは大変驚きました。また、アヒヤが「あなたは10切れを取りなさい。神はソロモンの手から国を裂き離して、あなたに10部族を与えられる。しかし、主はこう言われる。『私はダビデに一つの部族を残す。これは、その子を長くエルサレムの王にすると約束したからである。』」というのを聞いていっそう驚きました。

 ソロモンはまもなく、神様が自分の息子から王国を取ってヤラベアムに与えられることを知りました。ヤラベアムは命が危うくなり、エジプトに逃げなければならなくなりました。彼はソロモンが死ぬまでエジプトに留まりました。ソロモンは40年間エルサレムを治めました。やがて死んで彼はその先祖のところに葬られました。その息子レハベアムが代わりに王になりました。ヤラベアムはソロモン王が死んだと聞いてすぐエジプトから帰ってきました。イスラエルの民は彼とイスラエルの主だった人、何人かをレハベアムのところに送って願い事をしました。老いた預言者サムエルは、イスラエルの民が初めて王を求めた時、その王が民を働かせて重い税金をかけるようになるから、いまにきっと後悔する、と警告したことがありました。その警告がソロモンの時に実現したのです。

 ここで民は、レハベアムに税金をもう少し軽くしてほしいと頼んだのです。彼は、「3日過ぎてからまた私の所に来なさい。その時返事をしよう。」と言いました。民の代表者たちが帰った後で、レハベアム王は、父ソロモンの相談相手になっていた老人たちの意見を聞きました。賢明な老人たちは、「もし王が民たちにねんごろに語り、少しでもその荷を軽くすると約束すれば、民は王を愛していつまでも王に仕えるでしょう。」と王に忠言しました。次に王は、自分の仲間や友人の意見を聞きました。国を治めた経験のないこれらの愚かな若者は、反対の意見を述べました。彼らは「ソロモンよりももっと厳しく民を扱うように答えなさい」と王に言いました。

 3日後に民はヤラベアムを先頭に立てて戻ってきました。王は、「父はあなたがたのくびきを重くしたが、私はあなたがたのくびきをさらに重くしよう」と荒々しく答えました。民にこんな返答をするなんて、若いレハベアム王は本当に愚かでした。父の知恵は確かに受け継いでいなかったようです。この高慢な言葉を聞いて、民は、「われわれはダビデやダビデの家などどうなってもかまわない。こんな王はいらない」と言って皆レハベアムのもとを去り、家に帰りました。そして、ヤラベアムを王としました。ユダとベニヤミンの2部族は、レハベアムのともに留まりました。ユダは大変大きな部族でしたが、ベニヤミンは小さく、ユダと一緒にされて、一つに数えられていました。これで、イスラエルとユダの二つの王国が出来たのです。この二つは、二度と一つの国になりませんでした。ダビデの家系はユダを治めましたが、イスラエルはいろんな家系の王によって治められました。

 イスラエルの最初の王ヤラベアムは、良い王ではありませんでした。一番初めにしたことが既に間違っていました。彼はイスラエルの多くの者が、自分に不満を持って、そのうちダビデの子孫で本来の王であるレハベアムのもとに戻ってしまうことを恐れました。レハベアムがエルサレムに住んでいたので、イスラエルの民が礼拝をしに、エルサレムに行くことを、ヤラベアムは特に恐れました。エルサレムに民が行くのを妨げるため、ヤラベアムは二つの金の子牛を作りました。そして、その一つは王国の南部のべテルに、もう一つを北のダンに置き、「礼拝するためにエルサレムまで行くのは遠すぎる。私はもっと手近に神を作った。イスラエルよ、あなたがたをエジプトの国から導きのぼったあなたがたの神を見よ。」と言いました。
 ヤラベアムは新しい祭司を作りました。だれでも祭司になりたい人がなれました。雄牛を1頭に山羊を7頭、いけにえとして持ってくれば祭司になれたのです。主の礼拝にできるだけ似せるため、ヤラベアムは金の子牛の礼拝に祭りの日を設けました。ヤラベアムが偶像礼拝を自分たちに勧めようとしているのを知って、神を畏れる人たちはイスラエルの国を離れて、まことの神さまが礼拝されているユダに移って行きました。もちろん、皆が皆引っ越しをするのは容易なことではありません。第一に旅費をつくるのに自分たちの農地を売らなければなりません。自分の家を離れるわけにはいかないので、いやおうなしに悪いイスラエル王国に留まった人もいたのかもしれません。ところが他方、ユダやベニヤミンの人で、内緒で偶像を礼拝していた人たちもいました。これらの人は、ユダよりもイスラエルに住みたがりました。こういう人がイスラエルに転入し、良い人たちが離れていったことで、イスラエルの国力は弱まりました。祭司やレビ人たちもユダに移ってしまいました。彼らは、王や民が金の子牛を礼拝しているような国に留まっていられませんでした。

 こうしてイスラエルが弱くなっていくのに反してユダは強くなっていきました。残念なことにユダのレハベアム王は、善良なダビデ王の孫でしたが良い人ではありませんでした。彼の母親は、ソロモン王の異教の妻のひとりでアンモン人の女王でした。おそらく彼女は偶像を拝み、息子にも偶像礼拝を教えたことでしょう。
 レハベアム王は17年の間、国を治めその死後は息子のアビヤがユダの王座につきました。アビヤはイスラエル全部も自分の国であるはずだと思い、ヤラベアムのしたことをよく思っていませんでした。彼は父方からも母方からもダビデのひ孫にあたっていました。その母親はアブサロムの娘で、父レハベアムはソロモンの息子だったからです。アビヤは自分が全部族の当然の統治者であると考えていました。

 王国をもとのように統一するために、アビヤはヤラベアムと戦いました。ヤラベアムの80万人の兵に対し、アビヤはわずか40万人の兵しか集められませんでした。戦いの前にアビヤは、ヤラベアムやその兵隊たちの見える高い所に登りました。そして、神様がイスラエルの国をダビデとその子孫に永遠に与えられたのだから、ヤラベアムは王になる権利はないと大声で彼らに言いました。彼はまた、ヤラベアムたちがまことの神様から金の子牛礼拝に走ったこと、神様の祭司を自分たちの国から追い出して、誰でもなりたい人を祭司にしていることをなじりました。どうしてこんな悪いことをしていて戦いに成功できるでしょう。ユダではまことの祭司であるアロンの子たちが、朝夕、神様に香ばしい香をたき、神様の命じられたようにいけにえを捧げている、神様ご自身がユダの人々と共におり、神様の祭司がヤラベアムに対しラッパを吹き鳴らす備えをしている、と言いました。
 ヤラベアムはこの警告を聞き入れる代わりに、何人かの自分の兵を連れてアビヤ王の話している間、ユダ軍の後ろにまわりました。彼はまことの神様のことなど、いっこうにお構いなしでした。彼にはアビヤ王の二倍の兵がいたので勝利を確信していました。彼は神様の助けよりも兵隊の数を頼りにしていました。アビヤ王は話し終わってから後ろを見るとどうでしょう。自分の前にも後ろにもイスラエル兵がいるではありませんか。
 ユダの兵隊たちは神様を信じました。彼らは神様に助けを求めました。兵士たちがときの声をあげると祭司たちはラッパを吹き鳴らしました。ときの声をあげると神様はヤラベアムと全イスラエルを打ち破られました。イスラエルの兵は、ユダの兵から逃げて行きました。神様はユダの人々に大勝利を与えられました。イスラエルの兵は50万人倒れました。アビヤはヤラベアムを追って、べテルをはじめエフライムの南部全体を占領しました。こうしてアビヤは大勢の兵よりも主を信じるほうが良いことを証明したのです。アビヤは、3年治めただけで死にました。その子アサが彼の後をついで、ヤラベアムがまだイスラエルを治めている間にユダの王となりました。

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