熊田なみ子のほほえみトーク 2013年5月28日(火)放送

熊田 なみ子(スタッフ)

熊田 なみ子(スタッフ)

小さな朗読会165「羊飼いダビデ(1)」
(「母と子の聖書旧約下」68章)

 さて、しばらくのあいだ、サウルとの戦いの話はおいて、ユダの丘を歩いてみましょう。いちばんに、何年もまえに、ルツとその夫が住んでいたベツレヘムの町に行ってみましょう。

 丘の上のあのりっぱな家が見えますか?あれは約100年も前、ボアズとルツが建てた家ですよ。ルツたちは死にました。その息子のオベデももう死にました。でもオベデの息子のエッサイが、おじいさんのボアズや、おばあさんのルツの住んでいたあの同じ家に、8人の息子と一緒に住んでいます。
 今は春です。どこをみても花が咲き乱れています。野原の間をぬって小川は小石の上をさらさらと流れています。ほら、あの小さい真っ白な小羊たちをご覧なさい。何とたくさんいることでしょう。羊はやわらかい草を食べています。さあ、この緑の丘に座ってしばらく見ていましょう。

 静かに!あのきれいな音が聞こえますか。ほら、また聞こえてきます。なんでしょう。羊飼いの子の歌声に違いありません。ほら、あそこにいます。あの樫の木の下に。私たちは、木立の影にいるので向こうからは見えません。耳を澄ましてごらんなさい。

 「主はわたしの牧者であって、わたしには乏しいことがない。主はわたしを緑の牧場にふさせ、いこいのみぎわに伴われる。」なんと美しい歌でしょう。少年は小さな竪琴を手に持っています。もしかすると弾くのかも知れません。木立の後ろに隠れて、見えないように気をつけていてください。

 ほら、また歌っています。琴も弾いています。空を仰ぎながら歌っています。

 「もろもろの天は神の栄光をあらわし、大空は御手のわざをしめす。この日はことばをかの日につたえ、この夜は知識をかの夜に告げる」

 なんと良い歌でしょう。そして、なんと上手なことでしょう。この子は誰でしょう。どこでこんなに上手に歌ったり弾いたりするのを覚えたのでしょう。少年は、羊を追うための杖を取り上げ、羊に声をかけながら丘を越えて行きます。どの羊にも名前をつけているようです。羊は食べるのを止めて彼の呼ぶ声について行きます。彼は羊を丘の向こうに連れて行きます。羊飼いは行ってしまいました。でもまた何回か彼に会うでしょう。

 神様は、イスラエルの民の間で彼に重要な務めを与えておられます。この羊飼いの少年が、やがてはイスラエルの王になるのです。神様は、サウルをイスラエルの最初の王として選び、サウルを尊ばれましたが、サウルは、高慢になり神様の命令に従いたがらなくなりました。彼は神様の命令に背きました。

 しばらくして神様はサムエルに、つのに油を満たしてベツレヘムのエッサイのところに行くように命じられました。神様はサウルの代わりにエッサイの息子の一人を王に選ばれたからです。
 サムエルは、ベツレヘムに行き村の全員にいけにえを捧げるように呼びかけました。エッサイも、息子たちを連れてやって来ましたが、ただ、エッサイの末の息子ダビデだけは呼ばれませんでした。ダビデは野で羊を飼っていました。
 サムエルは、大そう背が高くて立派な、エッサイの長男エリアブを見ました。そして、「この人こそ、主が王として選ばれた人だ」と一人で思い込みました。ところが神様はサムエルに「顔かたちや身の丈を見てはならない。主は心を見る。私が選んだのはこの人ではない。」と言われました。エッサイは、次男アビナダブを呼びました。サムエルは、「主が選ばれたのはこの人でもない。」と言いました。エッサイの7人の息子は、順にサムエルの前に出ました。しかし、老預言者は、「神はこの誰をも選んでおられない。あなたの息子はこれだけなのですか。」と言いました。「まだ末の子が残っていますが、羊を飼っています。」とエッサイは答えました。「彼を連れてきなさい。彼がここに来るまで、我々は食卓につきません。」とサムエルは答えました。

 ダビデは野から帰って来ました。まだ16か17の少年です。彼は背が高く、顔かたちも勝れていました。また毎日、羊と一緒に外にいるので、健康そうな肌と血色をし、良い体格をしていました。非常にハンサムで、見てほれぼれとするほどでした。
 ダビデが現れると、主は、「立ってこれに油を注げ。これが、王として私の選んだ人である。」とサムエルに言われました。預言者は、少年を自分のもとに呼んでひざまずかせました。ダビデは顔を赤くしながら、やってきて、サムエルの前にひざまずきました。老人は油の入った角を取って、油をダビデの頭にかけました。

 ダビデの兄弟や、ベツレヘムの人々は、みなこれを見ました。
 この時以来、神の霊はダビデの心に入りました。もちろん、サウルがまだ生きていたので、油を注がれたその時からダビデが治め始めたのではありません。サウルはまだ、ダビデが自分を継いで王となったことを知りませんでした。サウルが死んで初めて、王国はダビデのものとなるのです。サウルはなお治め続けましたが、神様はもう、サウルと共におられませんでした。神の霊がサウルを離れてからは、悪霊がサウルを悩ますようになりました。時には、サウルは大変憂うつになりました。

 サウルの召使で、「どうして王様は、琴を上手に弾く人を探すように、私たちに命じられないのですか。王が悲しみに沈まれるとき、よい音楽を聞かれれば、気分は良くなるでしょう。」という者が何人かいました。「そのような人をさがして来なさい。」とサウルは命じました。召使の一人は、「私はそのような人を知っています。彼はベツレヘムに住むエッサイの息子の一人です。彼は勇気もあり良い人です。姿も美しい人です。と言いました。
 サウルの命令で、ダビデは王宮に呼ばれ、そこでしばらく住むことになりました。王が発作を起こすとダビデは琴をひきました。ダビデのひく美しい曲を聞いて、サウルの気分は良くなるのでした。

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