熊田なみ子のほほえみトーク 2011年12月6日(火)放送

熊田 なみ子(スタッフ)

熊田 なみ子(スタッフ)

暗闇に輝く光

 「被災者と支援者のための心のケア」(聖学院大学総合研究所カウンセリング研究センター編)という小冊子をいただきました。私たちは、今年3月11日、日本に思いがけなく襲ってきた大震災によって大きな変化を余儀なくされました。家族を失い、友人を失い、財産を失い、仕事を失い、まだまだ暗闇の中を歩む人々が大勢います。月日の流れは新たな苦しみをもたらし、空しさ、絶望感に苛まれるという人々が自分の命を絶つという悲劇も生まれてしまっています。また、震災の被害に直接遭わなくても、私たちの人生の道のりには絶えず様々な苦しさが襲ってきますから「心のケア」の大切さが今年も叫ばれながら12月を迎えています。

 2011年、メディア・ミニストリーも被災地からの叫びをきっかけに「希望のことば」が開始されました。そこにリスナーの方々からのお便りが届いています。これから10年、20年、30年と被災地は、日本は、世界は、いったいどうなっていくのでしょうか?苦しみの叫びがまだまだ続きます。先のことを思うより今日とにかく生きていくことだけが精一杯!と。そこにどのように寄り添っていけるかと考ながら…。心のケアのためにも援助の手が必要であること覚えて、様々な立場の方々が熱心に働かれています。
 この小さな本には、(1)被災と心身のケア、(2)こどもの心のケア、(3)被災と自殺、(4)悲嘆反応への対応、(5)破滅の中にある生きる希望-ヨブ記に聞く-、(6)被災と孤独、(7)被災と牧師の役割、(8)被災地支援者のメンタルへルス、(9)被災地から離れて住む人のメンタルヘルス、という内容が書かれています。震災の後、私も一時番組作りが捗らず、何を語っても空しいような、気持ちが落ち込むような、何ともいえない苦しさに襲われました。おそらくみな同じような思いだったでしょう。そして9ヶ月、この年の瀬はその孤独がますます深まってしまうようなニュースもあり辛くなりますね。

 アドヴェントを迎えるといつも思い出す絵本があります。「星はきらきら」(ロイス・ロック作・中村妙子訳)という絵本の最初の言葉です。
 「さびしい夜ってあるでしょ?夜中に目を覚まし まわりに誰もいない時 そんな時思い出してごらん 星がひかってた ずっと昔のおはなしを…夜中に目をさまして じりじり朝を待つ気持ち まわりは真っ暗 時計はチクタク 神様お願い 私のそばに来てください 暗いさびしい夜 神様お願い 私のそばに来てください!…」。救い主誕生のストーリーがこの後順番に始まります。日曜学校で子供たちと皆で声をあわせて読んだこともありました。
 朗読劇みたいな感じでしたね。お話しながら思い出しましたが以前リスナーの方からも眠れない夜に「一晩中なみこさんの声を聴いていたんです」と言われて驚いたこともありました。あなたもそんな時ありますか?

 さて、「心のケア」の(6)の中を読んでいるとき、番組で分かち合えたらという言葉に出会いました。それは二つの孤独、「独りぼっちで寂しい孤独」と「たった一人のかけがえのない存在としての孤独」、という言葉です。心の被災を受けたものが感じる置き去りにされたような孤独感。「傷ついた孤独」という言葉も書いてありました。乗り越えるために二つのことが奨められています。
 (a)話をし、人と繋がること。
 (b)たった独りの心の世界、本当の自分自身を大切にすること。

 クリスマスの季節、賑わう街角で大勢の人の中にいても、ぞっとする孤独感に苛まれることもあるのです。
 「闇の中を歩む民は、大いなる光を見、死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。」(イザヤ9:1)という約束の救い主、イエス・キリストの誕生の喜びを感謝する本物のクリスマスをいただいてください。必ず光の中を歩む希望を見出すことでしょう。
 今年は、ちょうど12月25日がクリスマス礼拝。被災地にクリスマスの光が輝き、多くの人々が真の希望をいただけますように。  くまだなみこ

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