いかがお過ごしでしょうか。東京教会の今井献です。
マタイによる福音書26章6節以下に、食事をしていたイエス様に高価な香油を注いだ女性が出てきます。イエス様は、この女性の行為について「この人はわたしの体に香油を注いで、わたしを葬る準備をしてくれた。はっきり言っておく。世界中どこでも、この福音が宣べ伝えられる所では、この人のしたことも記念として語り伝えられるだろう」と約束されました。
なぜ、これほど、イエス様がこの女性の行為を喜び、世の終りまで語り続けられるとまでおっしゃったのでしょうか。それは、「わたしを葬る準備」となったからです。イエス様は、この食事の後に祭司長たちにとらえられ、翌朝には十字架に付けられます。その死は、メシアの死であり、人を罪と死の縄目から解き放つ救いのみわざです。
メシアとは、油注がれた者という意味であり、神から遣わされた者を指します。イエス様は、香油を頭に注がれることにより、ご自分がメシアであることを示すとともに、ご自身も十字架に向かう覚悟をいっそう固くしたはずです。
また、香油は、葬るとき遺体に塗るものでした。それゆえ、女性による油注ぎは、ご自身のメシアとしての死を前もって指し示す象徴的な行為になりました。
この女性の行為は、イエス様への信仰のゆえに、福音を前もって証しする象徴的行為とされ、聖書に書き記されました。わたしたちも信仰により、キリストの福音を証しする者になりたいと願います。