2007年9月30日(日)絶望の淵から(詩編88:19)

おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
今朝は旧約聖書詩編の第88編19節の言葉です。

「愛する者も友も あなたはわたしから遠ざけてしまわれました。 今、わたしに親しいのは暗闇だけです」

この言葉は詩編88編の結びの言葉です。「今、わたしに親しいのは暗闇だけです」という言葉で結ばなければならない人生とは、どれほど孤独で、悩みと苦しみとに満ちた人生でしょうか。
この詩編を読んでいると、生きていくにはもう何の望みもないかのように錯覚してしまいます。深い悩みの淵から叫んでみても、誰の耳にも届かないうちに消えていってしまう空しい響きのようです。
しかし、誤解してはいけないのですが、この詩編は空しい人生に絶望した行き場の無い嘆きを綴った歌ではないのです。確かにこの詩編の作者の祈りは直ちには聞きあげられてはいません。長い間、自分の人生と向き合って、その苦しみや空しさを嘗め尽くしてしまったかのようです。しかし、それでもなお人生を投げ出さないで、神に問い掛けている一人の人間がここにいるのです。

わたしたちが生きていく道のりには、すぐには答えがでない難しい問題が溢れています。学校の試験問題のようにすぐに答え合わせができるものでもありません。答えを求めつづけて絶えず神に祈る姿勢こそ、この詩編から学ぶべき大切な点なのです。

それではきょうもあなたの上に主の平安が豊かにありますように。