2004年11月21日(日)神なき世界のよう(詩編10)

 おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。

 今朝は旧約聖書詩編の第10編の言葉です。

 「主よ、なぜ遠く離れて立ち 苦難の時に隠れておられるのか。」

 詩編の中には弱い立場の者たちの詩がたくさん出てきます。強い者たちの罠に引っかかり、餌食となっている人々の心の叫びがあちらこちらに聞こえます。そうであればこそ、これらの詩を読むときに、弱い立場に苦しむ人たちは深い共感を覚えることが出来るのではないかと思います。そんな詩編の中でも、きょうの詩編の言葉はとびきり悲惨な状況を歌い上げています。

 そこに歌われる社会は強い者たちの不正に満ち溢れ、神への畏れなど感じられないほどに心が麻痺してしまっています。そんな中で不正を働く強い者たちはますます傲慢になり、自分は絶対に裁かれないと豪語します。それに対して、弱い立場の人々は、神の正義と公平に対する期待さえ薄れてしまいそうなほどにうずくまっています。しかし、この詩編は全体としては決して絶望の詩編なのではありません。神への信頼を揺るがされそうな中にあっても、不正な社会を神に訴え続けます。この小さな者の声を神は聞きあげてくださるとこの詩編の作者は確信しているのです。

 あなたがもし不正な社会に苦しんでるのでしたら、失望せずに、ぜひこの詩編の作者とともに、聖書の神に訴え続けましょう。