2018年6月12日(火) ほほえみBOX-ちょこっとことばのレッスン(25)「肉声の迫力」

 先日、声優志望S君の卒業公演がありました。休憩なし2時間の舞台を観劇。幕が上がり舞台は真っ暗、中央に立つ着物姿の少女が泣きながら歌い始めるオープニング。その声は小さく細く響き、それから海に向かって慟哭の叫びが。「おかあさ〜ん!」。小さな身体のどこから出てくるのかと思うほどの響き渡る少女の声…。

 出演者はみな声優になることを目標にしていますから、生き生きと自分の役を演じ、S君は準主役で悪役。失敗できないスリル満点の熱演。魅力あるナマの舞台でした。

 私も作品をピアノ即興演奏と一緒に朗読した経験がありますがライヴは緊張感溢れます。
 舞台に響く男性の声、女性の声を聴きながらふっと思いました。人間の声って素晴らしいけれど、誰でもが100パーセント生かし切っていないのでは?声も言葉もどんなふうに装うのか。目を閉じたとき誰の肉声が聴こえてくるのでしょうか?それが怒鳴り声や非難めいた聞きたくない声だったら悲しいですね。

 声の力を私たちはいろいろな場で感じています。肉声の迫力は聖書からも私には聴こえて来るようです。イエスさまの「ザアカイ降りてきなさい!」というお声。墓に向かって「ラザロよ、出てきなさい!」というお声、大勢の群衆の中で天を仰ぎ祈るお声や山の上で語られるお声。マイクのない時代、その肉声は希望に溢れ力強く響き渡っていたことでしょう。素晴らしいお声だったことでしょうね。

 また、旧約聖書のダビデも叫んでいますし、「高い山に登れ。良い知らせをシオンに伝える者よ。力を振るって声をあげよ。」(新共同訳)とイザヤ書40章にもあります。

 自分だけの「オンリーワンヴォイス」、とこのコーナーでよくお話ししました。今日も力ある聖書のみ言葉に希望をいただきながらのちょこっとレッスンでした。  くまだなみこ