2016年11月22日(火) 小さな朗読会207「律法の教師エズラ」(「母と子の聖書旧約下」109章)

 ペルシャに、生涯を王さまのおきてを熱心に研究してきた、ユダヤ人が住んでいました。
 その名はエズラといい、彼は自分で聖書を勉強するほかに、他のユダヤ人たちにも律法を教えていました。このことで、彼はペルシャじゅうに、王さまにまで知られていました。
 神さまはこの人に、ユダヤにいき、そこにもどった人たちに神さまの聖い律法を教えたいという願いをお与えになりました
エズラは、このためにユダヤにいかせてほしい、と王に申し出ました。王はたいへん親切でした。彼はエズラのいくことを許可するだけでなく、いっしょにいきたいユダヤ人はだれでもいってよい、といいました。そのうえ、王やペルシャの大臣たちは、エズラに金や銀のすばらしい贈り物をおくり、神の宮のためにも、金や銀の美しい器をおくりました。エズラに与えられた金銀は10億円にもなるもので、この宝は、大いなる神へのささげものとなるのでした。
 アルタシャスタ王は、宮のためのエズラの経費を全部王の宝庫から払う、と約束しました。クロスとダリヨスのように、この王も天の大いなる神さまを信じ、その神を敬うべきだと考えていたのです。
 ネブカデネザルによって、イスラエル人がバビロンに連れていかれたことは、イスラエル人に対する罰でしたが、全世界にとっては非常な祝福になりました。ユダヤ人も偶像を礼拝したことがありました。しかし、異教国にとらわれてみると彼らは偶像礼拝を捨て、自分たちの神に立ち返りました。こうして彼らはその異教の隣人によい影響を与えました。
 ユダヤ人をとおして、ネブカデネザルは神さまの力を見、ダニエルが王に、土の足をした像についての夢を告げたとき、王はたいそう心を動かされました。また、シャデラク、メシャク、アベデネゴが、金の像を拝まなかったばかりに投げいれられた火の炉のなかで、神さまが彼らを守られたとき、王はじめ、すべての人々は感心しました。
 あとで、神さまがネブカデネザルを7年間、狂人にして、彼をへりくだらされたとき、ネブカデネザルは正気を取りもどしたあとで、「われネブカデネザルは今、天の王をほめたたえ、あがめたてまつる」といいました。民もまた信じるようになってきました。
 たぶんネブカデネザルは、その異教の神を完全には捨てなかったでしょうが、少なくとも、イスラエルのまことの神について知るようになりました。
 ベルシャザルのときには、神さまは、壁の文字で、その力を現されました。またダリヨスのときは、ダニエルをししから救われました。
あとで、ペルシャ王クロスと、ダリヨス大王が治めたとき、これらの王はユダヤ人をエルサレムにおくり、その宮造りを助けました。彼らはお金やいけにえのための動物を与え、自分や子のために、天の神に祈るように、ユダヤ人に求めました。
 こんど、エズラが、イスラエル人の一団を連れてエルサレムにもどるとき、王は、宮の礼拝に必要なものをいろいろ与えました。大臣たちも、お金や金銀の器をたくさんおくりました。王はエズラに、人々の上に審判人をおき、ユダヤ人に神の律法を教え、その律法に従うことを要求する権威を与えました。
 こうしてユダヤ人の捕囚は彼らにとっては罰でしたが、異教徒にとっては大きな祝福でした。今まで神さまのことを聞いたこともない人が、たくさん、神さまを信じました。エステル王妃のとき、多くの人が神さまを恐れることを学びました。そして、神さまを知る知識はこれらの国々に残りました。赤ん坊のイエスさまを礼拝しにきた博士たちはこれらの国からきたのです。

 エズラといっしょに、6、7千人のものがユダヤにもどりました。3日間、この一団は、川のほとりに天幕をはりました。そしてそこで、実際の出発に先だって、エズラは断食を布告しました。彼らは祈り、長い危険な旅路を神さまが導き、自分たちや子供たちを守ってくださるように、祈りました。
 これからは1千キロも続く暑いさばく地帯を通らなければなりません。きっと盗賊にあうでしょう。「『われわれの神はわれわれを守られる』といったので、わたしは道中われわれを守る歩兵と騎兵とを、王に頼むのが恥ずかしい。そこでわれわれは断食して、このことをわれわれの神に求めたところ、彼はその願いを聞きいれられた」とエズラはいっています。
 「わたしは祭司がひとりもともにいないのに気づき、彼の宮に仕えるため、祭司たちにともにくるようにいった。250人の祭司とレビ人がわれわれに加わった。わたしは祭司を22人選んで、王やその大臣からきた金銀の器をつかさどらせた。」
 こうして巡礼たちは長い旅にでかけました。

 4ヶ月後に、彼らはエルサレムに着きました。最初のイスラエル人の一団がペルシャからもどってから、もう80年もたっていました。最初にきた人たちの大部分はもう死んでいました。
 エズラとその一団がエルサレムに着くと、早速、金や銀をみな神殿にとどけ、主に燔祭をささげました。
 それからまもなく最初の一団のつかさたちがエズラのもとにきて、最初のユダヤ人たちの多くが、ふたたび異教の妻と結婚したことを告げました。彼らは異教徒とまざってはいけないという神のいましめを、忘れてしまったのです。つかさたちのなかにも、この罪をおかした人たちがいました。
 これを聞いてエズラは、すっかりあきれ、衣を裂いて、一日じゅう、なげきました。他の人たちも悲しみ、ともになげきました。
 エズラがあきれたのも無理はありません。民は、偶像礼拝のために捕われたのではありませんか。民が異教の妻と結婚したら、またすぐ異教に走ってしまうことでしょう。そうすれば、神さまはもっときびしく罰せられます。
 エズラは一日じゅうなげきました。夕方には、ひざまずき、手をひろげて主に祈りました。「わが神よ、わたしはあなたにむかって顔を上げるのを恥じて、赤面します。われわれの不義は積って頭よりも高くなり、天に達したからです。われわれは何をいうことができましょう。われわれはあなたを捨てました。ふたたびあなたの戒めを破ったのですから、あなたはわれわれを怒って。ついに滅ぼし尽されないでしょうか」と彼はいいました。
 エズラが祈って泣いているとき、大勢の男や女や子供たちが、自分たちの罪を泣きながら集まってきました。
 男のひとりがエズラに、「われわれは、これらの異教の妻をことごとく追い出すという契約を神にたてましょう」といいました。
 そこで彼らは集まりを開きました。そして、すべての異教の妻をめとったものは、決められたときに、祭司エズラと、ほかに一、二のおもな人のところにいき、審判を受けたあと、自分の異教の妻を離縁することにしました。こうして彼らは神さまを尊び、偶像礼拝をしりぞけました。