2012年4月24日(火)小さな朗読会152「カナン」
モーセの死後、神様はヨシュアに語りカナン全土をイスラエルに与えたから、民をカナンの地に導けと言われました。神様は、もしヨシュアが神様の律法に従うなら、モーセと共におられたように、ヨシュアとも共におられると約束されました。ヨシュアの指示に従って、つかさたちは民にたくさんの食糧を備えるように命じました。三日でカナンの地に入るのです。皆は大喜びでした。ようやく、あと三日で約束の地に入るのです。主婦達は皆煮炊きを始めました。今でも毎日天からのマナを食べていましたが、これからは色々他のものも食べられます。ミデアン人の羊や牛も自分達のものではありませんか。
ヨルダン川のすぐ向かい側にエリコという大きな町があります。敵が入れないように周りには高い石垣がめぐらされ、そこには毎夜閉ざされる大きな鉄の門がついています。これがイスラエルの征服する最初の町です。そこでヨシュアは、一番町に入りやすい方法を調べるため二人の斥候をエリコに送りました。斥候は見つからずに町に入れました。彼らはラハブという婦人の家に行きそこに泊まりました。ラハブも他のカナン人同様、イスラエルの民の力と威力について長い間色々な素晴らしい話を聞いていました。彼女は他のカナン人のように、この偉大な神様とその民を相手に戦いたくはありませんでした。彼女は今までずっと異教徒でしたが、このイスラエルの神を自分の神とし、その民を助けたほうが良いのではないか、と心の中で思うようになっていました。
二人の斥候がその家に来ると、彼女は彼らを自分の家の平らな屋根にあげ、そこで横になるよう言いました。そして、彼らをわらのような亜麻で覆いました。これは彼らを隠すためです。何人かの人は、二人の斥候がエリコに来てラハブの家に入ったのを見ました。彼らは王の所に走り、「イスラエルの人々のうちの数名の者が今夜この地を探るために入ってきました」と興奮して言いました。王は急いでラハブの所に人をやり、家に来た人々を引き渡すよう命令しました。彼女は、「確かにその人々は私の所に来ました。しかし、私はその人々がどこから来たのか知りませんでしたが、たそがれ時、門の閉じるころにその人々は出て行きました。どこへ行ったのか知りません。急いで後を追いなさい。追いつけるでしょう。」と言いました。ラハブは異教徒でうそをつくことが悪いとは思わなかったのでしょう。
使いのものは、斥候の後を追って急いで彼女の家を出ました。彼らが門から出ると、門番は他にも斥候が入ってこないようにすぐに門を閉めました。ラハブは屋根にいる斥候達の所に急いで「主がこの地をあなた方に賜ったこと、この地の民が皆あなた方の前に震えおののいていることを私は知っています。あなた方がエジプトから出て来られたとき、主があなたがたの前で紅海の水を干されたこと、およびあなたがたが、ヨルダンの向こう側にいたアモリ人の二人の王シホンとオグを全滅させたことも私たちは聞いて、心は消え、あなたがたのゆえに人々は全く勇気を失ってしまいました。それでどうか私があなたがたを親切に扱ったように、あなたがたも私の父母、兄弟、姉妹、およびすべて彼らに属するものを救ってください。」と言いました。二人の斥候は、もし彼らが何のために来たかを彼女が誰にも話さないと約束すれば、彼女の家族のものは殺さないと約束しました。
さて、町の城壁が非常に分厚かったので、壁の上に家々が建っていました。ラハブはそのような家の一軒に住んでいました。彼女の家には、壁の向こう側に向いている窓もありました。ラハブは斥候に、「今は門が閉ざされているので出られませんが、この綱であなた方を窓から出しましょう。追っ手に会わないようにあなたがたは山へ行って三日の間そこに身を隠し、追っ手の帰って行くのを待ってそれから去って行きなさい。」と言いました。これに対し、斥候たちは「我々がこの地に討ち入る時、私達を釣りおろした窓にこの赤い紐を結びつけ、またあなたの父母、兄弟、およびあなたの父の家族を皆あなたの家に集めなさい。あなたの家族を生き長らえさせることを約束しますが、このことは誰にも話してはなりません。」と言いました。
そこでラハブは斥候を窓から降ろし、町の外の畑に逃がしました。彼らは三日間山に隠れました。そのあとでヨシュアのところに戻り、「本当に主は、この国をことごとく我々の手にお与えになりました。この国の住民は皆我々の前に震えおののいています。」と報告しました。
ヨシュアの命令したとおり、民の準備は整いました。彼は数日分の食物を作りました。最後の晩を過ごす天幕をのぞいてみると全ては荷造られていました。ヨシュアはミデアン人との戦い以来、数ヶ月間留まっていたモアブ平原の陣営に終わりを告げて、ヨルダン川の近くに移るように命じました。これは朝早く川を渡る用意のためです。ヨシュアのこの指示を聞いた人々は、天幕に戻り明るくなったらすぐ起きられるように寝る支度をしました。その晩、彼らはどんなに幸福だったことでしょう。明日は本当に約束の地に入るのです。
朝早く長い行列が整いました。彼らがいつも決まった順序で進むことを皆さんは覚えているでしょう。今度は祭司達が契約の箱を持って先頭に歩きました。さて、ヨルダン川というのは流れが急で激しいのです。一年のうちのこの時期は、水が岸に溢れます。ところが祭司の足が水にさわると水の流れは止まりました。そして、6キロほど川上で高い壁のように立ちました。既に流れていた水は間もなく地面に吸い込まれるなどして川床は乾いてしまいました。川床には水がなくなりました。太陽の高い熱で土はまもなく乾き、イスラエルの民が歩いて川を渡れるようになりました。契約の箱を持った祭司達が川底の中央に立ちました。彼らは、イスラエルの長い長い行列が向こう側に通り過ぎるまで動きませんでした。
ヨシュアはあらかじめ12人の強い人を選んでおきました。ここで彼はこの12人に自分が持てるだけの重さの大きな石を、祭司達の立っていた川床から持ってくるように言いました。これらの石は、川の土手に高く積まれなければなりません。ヨシュアはその通りにしました。それは将来、民の子供達がこの川の土手に積まれた12の大きな石を見て「これらの石はどうしたわけですか」と尋ねた時に父親が「これらの石は、イスラエルの民が皆ヨルダン川を渡ってしまうまで、神が渇いた地にされたことを記念するためです。」と言えるためです。民が皆渡り終えると、ヨシュアは祭司達にヨルダンから上がってくるように命令しました。祭司達が川の向こう岸に足をかけたとたんに水の垣は崩れて、水はものすごい勢いで再び川床を埋めてしまいました。
イスラエルの民はようやく長年の放浪の後、彼らの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブに約束されたカナンの地に着きました。彼らはその夜初めて自分達の国に天幕を張りました。そして、ちょうど過ぎ越しを守る時期だったので、数日間ここで休みました。過ぎ越しを終えるまで彼らは動きませんでした。
この祭りの翌日から40年間食べていたマナがもう天から降らなくなりました。もはや必要がなくなりました。この自分達の国に食糧は十分にありました。
アモリ人とカナン人がここに住んでいました。彼らは残忍な異教徒で、神様は彼らを生かしておきたくありませんでした。彼らは、胴は座っている人間の体で、頭は子牛の頭を備えているモロクという青銅の偶像を拝んでいました。人々はこの偶像が灼熱して真っ赤になるまでその中に火を炊き、こうしてこの偶像を拝みました。そして、自分達の赤ん坊や小さな子供をこの偶像の腕に入れ、可愛そうな子供が焼け死ぬ間、その悲鳴の聞こえないように彼らは太鼓を叩いたのです。この他にも長い間この民は悪いことをしてきました。そこで神様は彼らを罰するのにイスラエル人をお用いになりました。
この国の民はイスラエルの民が来ることを知っていて、恐れていました。イスラエルには、彼らを色々な奇跡的な仕方で助ける偉大な神がいることも知っていました。ここでこのイスラエルの神がヨルダン川の水を乾かしたと聞いて、彼らは全く恐れ惑いました。このような神に対して何が出来るでしょう。(ヨシュア記 1−5章) くまだなみこ