2011年8月23日(火)小さな朗読会144「愚痴をこぼすイスラエル人」
主は毎朝、イスラエルの民のために、おいしいマナをおくり続けられました。しかし、この祝福を喜ぶかわりに、彼らはいやな顔をし、「わたしたちはマナにあきてしまった」と泣き言を言うようになりました。「一日中、マナしか食べるものがない。ああ、肉が食べたい。新鮮な野菜も食べたい。エジプトで食べた魚や、きゅうりや、すいか、にんにく、たまねぎ、にらが懐かしい。しかし、今はマナしかなくてもうあきてしまった」と彼らは言うのです。
彼らは何と不平がましかったことでしょう。間もなく、いろいろおいしい食べ物のある土地に着くことを知っていながら、彼らは、数週間の間、マナを食べることに我慢できなかったのです。イスラエルの陣営中が不平を言っていました。彼らは自分がかわいそうに思えて、涙を流しながら天幕の入り口に立っていました。モーセが天幕のどこを歩いても、不平と泣き言しか耳に聞こえてきません。
モーセも嬉しくありませんでした。彼はがっかりしていました。民があまりに不平を言い、モーセを困らせ、一つも神様の多くの祝福を感謝しないので失望していました。また、モーセは、この民を導いてゆくのは自分には荷が重すぎていると思えてきました。なぜ神様は、先祖の地に彼らを導くのに自分を選ばれたのだろう。彼らはいつも批判的です。そして、今度は「マナあきた。肉がほしい」と泣き言を言い始めています。どこに行けばこれだけの人のための肉があるのでしょう。モーセにはそんな肉はありません。気の毒なモーセはすっかり気を落とし、とうとう死んだほうがましだと思うようになりました。
愚痴にあきたのはモーセだけではありませんでした。神様も不平がましい呟きを聞き、反逆的な涙を見ておられました。しかし、神様はモーセを助けられました。神様はモーセに、イスラエルの民の中から、ましな男子を七十人選び、幕屋の入り口まで連れてくるように命じられました。これは、この七十人がモーセを手伝って民を治める助けのできるように、モーセにある霊を神様が彼らにも分け与えるためでした。不平をいう者には、一か月分の有り余ってうんざりするほどの肉を送ると神様は言われました。
これを聞いたモーセは、しばらく驚きのあまり神様の言うことが信じられませんでした。婦人や子供を入れないで、イスラエルの人数は六十万を越しています。これだけに必要な肉はどこから来るのでしょう。牛や羊をみな殺さなければならないのでしょうか。これに対して、主はモーセに「わたしの言葉が成るかどうかを見るであろう」と言われました。
モーセは、神様に命じられた通り、七十人の男子を選びました。神様は彼らがモーセを手伝えるように、モーセにある霊を彼らに幾らか分けられました。モーセはこの七十人に、公平な判断を下し、貧乏人と金持ちを区別しないように言いつけました。それから主は、強い風を吹かせ、海からうずらを送られました。うずらは鶏のような大きな鳥でおいしい鳥です。うずらは大群をなしてきたので、陣営の回り一面がうずらに覆われました。低く飛ぶので子供にも捕まえられました。
人々は仕事を止めました。一日中、一晩中、そして、翌日一日、彼らはうずらを捕まえるのに夢中になりました。鳥は、天幕のまわりに高く積み上げられました。腐らないように、イスラエルの民は、鳥を砂の上に広げました。空気が乾燥しているため、熱い太陽のもとで、それは干物のようになりました。どれだけたくさんうずらを取ったか、とても想像がつきません。少ない人でも、十ホメル、すなわち二千リットル取ったと聖書は言っています。どんな家族でも、一日十二リットル以上も食べられるものではありません。とすると、二千リットルもあれば、一ヶ月以上の肉でした。何と神様は素晴らしく備えられたことでしょう。
神様は、反逆し、不平をこぼしたものを罰せられました。非常に酷く神様に反発したものは、疫病にかかりその多くは死にました。モーセは、これらの反逆的なイスラエル人を扱うだけで手一杯だったでしょうに、自分の家族のうちにも問題が起こりました。モーセの姉、ミリアムと兄のアロンが、モーセを妬みました。モーセが民の指導者として神様に選ばれたからです。彼らは、民を自分たちに従わせようにしました。モーセは大変、柔和な人で怒りませんでした。彼らに一言も言いませんでした。
しかし、神様は非常にお怒りになりました。神様は、モーセ、アロン、ミリアムの三人を幕屋に呼ばれました。主は雲の柱の中に下られ、柱は幕屋の入り口に立ちました。神様は見えませんでしたがその声は聞こえます。神様は、モーセとアロンに、もしイスラエルの民の間に預言者がおれば、神様は夢か幻を通してだけ彼と語るが、モーセのように真実で忠実なものには、夢を通してではなく、顔と顔をあわせて語る。ミリアムとアロンは、主の僕を非難して怖くはないのか、と言われました。
アロンがミリアムに目を向けると、ミリアムが雪のように白くなっているのでびっくりしました。彼女が世の中でいちばん恐れられている病気ー重い皮膚病ーにお罹っていることを知りました。この病気は、不治の病でした。しばらくすると、ミリアムの手の指や足の指は腐っておち、やがて彼女は死にます。また、彼女は二度とイスラエルの陣営に近寄れなくなります。どこに行っても人のいる所では「汚れたもの、汚れたもの」と、彼女は呼ばれなければなりません。そして、重い皮膚病は人から人へ伝染するので、人々は彼女から遠ざかります。
アロンは、自分たちの罪をゆるし、ミリアムがこのような恐ろしい罰から許されるようにモーセに頼みました。モーセは、主に向かって「ああ神様、どうぞ彼女を癒してください。」と叫びました。神様は、「彼女を七日の間、宿営の外に締め出し、その後、連れ戻してよい」と言われました。イスラエルの民は、ミリアムがなおって一緒に旅に出られるまで待ちました。 くまだなみこ