2010年4月6日(火)復活
「聖書のおはなし」(藤城誠治・影絵、野田秀・文)より
あなたがもしそこにいたら、初めはおどろき、それから、「そうだった、そうだった」と、深くうなずいたことでしょう。
イエスさまが十字架でなくなってから三日目の朝のことでした。空にはまだ星が残り、太陽が顔を出す準備をしているころ、数人の女たちが、急ぎ足で墓に向かっていました。あまり急いで、転んでしまっては大変です。イエスさまのお体にぬる、香料の入ったつぼをかかえているからです。
女たちには心配なことが一つありました。墓の入り口には、大きな石が置いてあって女の力では動かせそうもないからです。「誰かが動かしてくれるとよいけれど、もし動かせなかったらどうしましょう。」口々に言いながら墓の前に着いた時、ちょうど太陽がのぼって、まぶしい光がまっすぐ墓の入り口を照らしたところでした。なんと心配は無用、石はそばに転がしてあります。「ああ、よかった」と、転がるように中に入った女たちがびっくりしたのはそれからです。
そこに、真っ白な長い衣をまとった青年がすわっていたからです。青年は御使いでした。口もきけないほどおどろいている女たちに、御使いはよくひびく声で言いました。
「イエスさまは、前から言っておられたようによみがえられました。行って、皆に知らせなさい。また、イエスさまにお会い出来るのですよ。」
女たちはあわてて墓を出ると、来た道をもっと急いで帰って行きました。御使いが言ったことを、すぐには信じられませんでした。けれどもすぐに、イエスさまが前からそのことを教えてくださっていたことを思い出し、「そうだった、そうだった」と、たがいにうなずき合うのでした。
この日から、イエスさまは、ご自分の生きておられるお姿を、人々に現してくださいました。イエスさまにお会いしたのは、一人や二人ではありません。十人、二十人でもありません。ある時には、五百人以上の人たちに現れてくださったのです。「イエスさまだ。イエスさまは生きておられる。ハレルヤ!」大勢の人がうれしさでいっぱいになり、顔を見合わせ、手を取り合って喜びました。
こうして、復活されたイエスさまにお会いした人たちは、主が死に打ち勝たれたことを知りました。だから、主を信じていれば、死をおそれなくてもよいこともよくわかったのでした。(いのちのことば社より 現在絶版) くまだなみこ