2017年6月4日(日) ペンテコステと教会

 おはようございます。広島県竹原市にあります忠海教会の唐見敏徳です。一昨年の3月にこの番組でお話をさせていただきました、今回、2年ぶり、2度目のお話をさせていただくことになりました。最後までお聞きくだされば幸いです。

 キリスト教会の暦には、3つの大きな記念日があります。それは、クリスマス、イースター、そしてペンテコステです。最初のクリスマスについては知らない人はほとんどいないでしょう。次のイースターについても、多くの方がご存じなのではないかと思います。しかし、最後のペンテコステについては、聞いたことがない、よくわからないという人が多いのではないでしょうか。実は今日が、ペンテコステの日なのです。

 ペンテコステとはどんな記念日なのでしょうか。簡単に言いますと、それはキリスト教会の誕生日です。わたしたち一人ひとりにそれぞれ生まれた日があるように、教会にも生まれた日があり、それがペンテコステの日なのです。ラジオをお聞きの皆さんが暮らしておられる地域の教会、私の仕えています広島県竹原にある忠海教会、そして世界中のキリスト教会はすべて、今からおよそ2000年前の今日に誕生した初代教会につながっています。

 では、教会の誕生日であるペンテコステにどのような出来事が起きたのでしょうか。その日に起きた不思議な出来事について、新約聖書の使徒言行録2章の最初は次のように記しています。
「五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。」

 ペンテコステは「聖霊降臨日」とも言われます。あらかじめ神さまが約束しておられた聖霊が、主イエスの弟子たちに注がれた日だからです。神さまからのバースデープレゼントである霊の力は、人種や民族、言葉や文化など、あらゆる違いを乗り越え、私たちを、まことの神さまの恵みのもとに一つに結び合わせる力を持っています。教会は、一人ひとり違う存在としてこの世に生を与えられている私たちが、その違いによって他の誰かから差別や偏見を受けることなく、その人らしさとして受け入れられ、用いられるところです。お互いを大切な存在として認め、成長しあえるところです。

 先ほどお読みした使徒言行録2章の続きには、主イエスの弟子であるペトロの説教があり、そして3000人ほどの仲間が教会に加わったことが記されています。彼らは互いに祈り合い、助け合い、キリストの教会は成長していきます。聖書に描かれている2000年前の初代教会も、いま私たちが暮らす地域にある教会も、その本質はまったく変わりません。そこに集うすべての人が神さまの恵みのもと、自分らしく生きることのできる場所として、教会の門はすべての人に ─ ラジオをお聞きの皆さんにも ─ 開かれています。