2016年5月15日(日) 教会の誕生日

 おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。
 きょうはキリスト教会にとって特別な日、ペンテコステと呼ばれる記念日です。キリストの復活の日から数えて50日目。キリスト教会の誕生日とも呼ばれる日です。
 いったいこの日に何が起こったのでしょう。それは、イエス・キリストがまだ弟子たちと一緒にいたときに約束されたことが実現した日です。

 キリストは弟子たちに命じました。約束のものを受けるまで、エルサレムを離れてはならないと。その約束のものとは、父なる神から遣わされる聖霊のことでした。この日、その約束が実現して、不思議な仕方で聖霊が与えられました。と、そこまでがこの日のあらましです。

 しかし、これでは何のことやらさっぱりわかりません。当時の弟子たちにとっても、キリストの約束をどこまで理解できたのか、事が実際に起こって、やっと理解できたというのが正直なところでしょう。とにかく、弟子たちを動かして、いたるところにキリストの福音を宣べ伝えさせた原動力は、この聖霊の働きによるものです。
 しかも、弟子たちを世に向かって押し出す力というばかりではなく、弟子たちがどう語ったらよいのか戸惑うときにも、適切に彼らを導き、語るべき言葉を口に授けたのも聖霊でした。

 そればかりではありません。弟子たちの語る言葉を聞いて、心を動かし、それを信じるようにと促すのも聖霊の働きでした。
 そういう意味で、聖霊が与えられなければ、キリスト教会は生まれなかったでしょう。そういう意味で、約束の聖霊が弟子たちの上に降ったこの日は、まさにキリスト教会の誕生日です。

 誰しも、信じる心は強制されて生まれるものではありません。誰かの語る言葉に特別な説得力があって、信じるものでもありません。同じ話を聞いても、信仰に入る人もいれば、まったく心を動かさない人もいるからです。正直のところ、人間が人間に信仰を持たせることなどできないことです。
 それなら、どうしてラジオでこんなにも一生懸命キリスト教について語るのでしょうか。それは、ただただ、語る者にも聞く者にも聖霊が働きかけてくださることを信じ、期待しているからです。

 ところで、生まれたばかりのキリスト教会には、手ごわい相手がいました。キリスト教会の誕生を快く思わない人たちです。いつの時代、どこの場所にも迫害は起ります。当時のキリスト教会にとっては、皮肉なことに、イエス・キリストご自身を輩出したユダヤ民族自身がそうでした。彼らの中から最初の迫害の手が伸びました。
 しかし、不思議なことに、このキリスト教会への迫害を推進していた張本人が、キリストを信じるようになりました。パウロがその人です。どうしてそうなのか、だれも説明することができません。パウロ本人は、復活のキリストご自身と出会った経験を語りますが、しかし、同じパウロは、自分の書いた手紙の中で、聖霊が「イエスは主である」と告白させ、聖霊が「自分が神の子どもとして受け入れられたことを確信させる」と語っています。

 きょう、この番組を聴いてくださっているあなたに、聖霊が豊かに働いてくださるようにと、心からお祈りいたします。