2016年1月31日(日) 分かち合って生きる

 おはようございます。宿毛教会の酒井啓介です。
 神様は、モーセの十戒の中で、「盗んではならない」と教えています。これは当然のことでしょう。聖書の中で、盗んではならない、との戒めはあちこちにあり、読んでいて気が付きますのは、困っている人に分け与えることと一緒に書かれている箇所もあるのです。

 新約聖書のエフェソの信徒への手紙4:28の御言葉をお読みします。
 「盗みを働いていた者は、今からは盗んではいけません。むしろ、労苦して自分の手で正当な収入を得、困っている人々に分け与えるようにしなさい」

 ここで2つの事柄が、似た意味で書かれています。1つは、「盗まない」ということ。もう1つは「困っている人に分け与える」ことです。
 神様は、この2つを一緒に語ります。内容を次のように言い換えられるでしょう。「盗まなければよいというのではなく、生活に困っている人に分け与えなさい」。
 このメッセージは、聖書全体で一貫しています。私たちは、自分のものを自由に使うことはできますが、その使い方を神様はご覧になっています。

 私たちの財産の、本当の持ち主は神様です。神様は、すべてを創造し、治めておられ、すべては神様のものです。神様が、私たちに財産を委託しているのであって、持ち物を神様に対して相応しい仕方で管理し、使うことが求められているのです。
 神様は、財産を託している私たちを通して、貧しい人や生活に困っている人を助けることを望んでおられます。そして、生活に困る人たちに捧げることは、神様に捧げることと言って良いのです。
 そのように神様が喜んで下さることのために財産や様々な持ち物や賜物を用いる人を、神様は豊かに祝福して下さいます。

 このような仕方で財産を用いる、一人の方に私は会いました。
 私は2015年5月に南アフリカへ行き、ある牧場経営者に会いました。南アフリカの状況はアパルトヘイトの傷跡が影響し、黒人の方々の多くが貧困に苦しんでいます。
 そのような中で牧場経営者のこの方は、経営拡大のために、機械を導入するのではなく、生活に困っている人を雇うことを決め、さらに彼らの生活を支える更正プログラムまで準備しました。機械を導入すれば、コストをより抑えられるのに、彼は、聖書の信仰に従って、困っている人々を助ける道を選んだのです。その他にも、敷地内にフリースクールを設立し、通常の学校に行けない子たちの教育も支えていました。
 先ほどの聖書の言葉「むしろ、労苦して自分の手で正当な収入を得、困っている人々に分け与えるようにしなさい」という言葉が、現実として目の前に広がっていたのです。

 牧場の業績は、この経営者自身も驚くほど祝福されて、機械を導入する以上に成長をしたと思われるほどで、新たに広大な土地を取得なさっていました。

 私たちは、自分の持ち物をどのように用いているでしょうか。困っている人々に分け与えられるように、一歩前へ歩み出しましょう。神様は喜んで、その働きを支え、祝福してくださいます。
 イエス・キリストは次のように述べました。「受けるよりは与える方が幸いである。」(使徒20:35)