2014年11月30日（日）　アドベント

　おはようございます。ラジオ牧師の山下正雄です。

　教会の暦の上では、きょうからアドベントに入ります。日本語では「待降節」と呼ばれています。クリスマスまでの四つの日曜日をアドベントの日曜日として数えます。きょうはそのアドベント最初の日曜日です。

　「アドベント」と言う言葉は、もともとラテン語の「やってくる」という言葉に由来しています。つまり、救い主イエス・キリストがやって来られることを覚える期間です。イエス・キリストがこの地上にやって来られたのは、言うまでもなく、今からおよそ2000年前、ユダヤのベツレヘムの家畜小屋で、マリアの胎から生まれ出たときです。

　しかし、キリスト教会は、このアドベントの時に、過去に起こった出来事を記念して、クリスマスを祝う心の準備をするために、このアドベントの期間を過ごしているのではありません。

　クリスマスが第一のキリストの来臨であるとすれば、第二のアドベントは、やがて世の終わりのときに、再びキリストが来臨されるときのことです。キリストはその弟子たちに、天使たちを伴って再び戻ってくることを約束されました。

　この第二のアドベントは、救いの完成の時であると同時に、最後の審判の時でもあります。喜びの日であると同時に、すべての人が神の前に申し開きを求められる厳粛な日です。このアドベントの期間には、そうした将来のキリストの来臨も同時に覚えることになっています。

　この世のカレンダーでは、明日から一年の最後の月となります。一年を締めくくる月であると同時に、忘年会も盛んに開かれて、一年の嫌なことをぱぁっと忘れようとする季節でもあります。しかし、キリスト教のカレンダーでは、このアドベントから一年が始まります。ただ嫌なことをぱぁっと忘れるのではなく、きょうからまた聖書の神にもう一度真摯に向き合う仕切り直しの時です。自分の一番嫌な問題、自分の罪の問題に勇気をもって目を留める機会です。そうでなければ、わたしたちの救いのためにやってこられたキリストの誕生を心から喜ぶことはできないでしょう。そうでなければ、やがてやってこられるキリストを喜んで迎えることもできないでしょう。

　心に重荷を負っている人、魂に安らぎを必要としている人を、キリストは癒して休ませてくださいます。重荷や苦しみをただ忘れるためではなく、根本から解決してくださるお方を迎えるために、アドベントのこのときに、自分の内面をもう一度見つめてみましょう。

　いつの時代からか、クリスマスがだんだんときらびやかで派手なものになってしまいました。もちろん、クリスマスを楽しみ祝うことは、うれしいことです。ところが、いつしか、「教会でもクリスマスをするんですね」と真顔で言う人がいたり、「キリストってクリスマスに生まれたらしいよ、すごくない？」って感動している高校生の話を聞くと、クリスマスがすっかりこの世のものになってしまったのだなぁと思います。

　しかし、そんな世の中だからこそ、キリスト教会が祝うキリストの誕生を知ってみたいと思う人もいるのではないかと思います。どうぞ、このアドベントの季節に、お近くのキリスト教会を訪ねてみてください。