2010年12月26日(日) 龍馬で沸いた高知の一年(対談)後編

※《佐》:佐藤省三さん、《山》:山下正雄(ラジオ牧師)、《な》:熊田なみ子(スタッフ)

《な》 先生、佐藤省三さんのいろいろなお話を伺ったんですが…
《山》 興味深い話ですね。
《な》 そうですねぇ。
《山》 自分の曾おじいさんが、坂本龍馬の本家に奉公していたというお話ですね。
《な》 先生と一緒にこの日もお宅でいろいろ伺ってきましたけど、先生も龍馬のドラマを…
《山》 えぇ、ドラマを観たというだけじゃなくて、司馬遼太郎の小説(『竜馬がゆく』)もこの際改めて最初から読みました。
《な》 いかがでしたか。
《山》 改めて龍馬像を認識しなおしました。
《な》 いろいろとお話しすると長くなってしまうかと思いますけど、何かポイントを1つ言うと…
《山》 そうですね。坂本龍馬という人は、何しろこれからの日本をどうすべきかという、設計図みたいなものをちゃんと持っていた。他の藩の人たちは、長州にしても薩摩にしても、幕府を倒すことに主眼がありましたけど、その後どうするのかというのがあまりなかったと言われているんです。坂本龍馬は「船中八策」の中で8つの要綱をまとめて、どうあるべきかという姿をちゃんと示すことができた、という点ですごい人だったんだなあ、ということを思いますね。
《な》 では、ちょっと佐藤さんのお話、続きも聴いてみようと思います。

《佐》 わたしの母が北海道で龍馬の甥の直寛に会うたという話なんですよ。直寛というのは、坂本龍馬の一番上の姉に千鶴というのがおったんですね。これは龍馬の方がずっと下ですし、千鶴はずいぶん早く生まれているようで、歳が17,8歳ぐらい違うんです。だから、母親ぐらいの年齢なんですね。龍馬の母親は龍馬が11歳のとき、子供の時に亡くなっていますんでね。たぶん、母の面影を求めて姉のところへときどき遊びに行ったようです。
《な》 そうですか。
《佐》 千鶴が嫁入りしたのは、ここのちょうど東隣の安田町ですね。安田の高松という医者をやっておった、高松順三という人なんですが、これがただの医者じゃなくて、学者であり、また剣豪でもあり、それから、キリスト教と係わりがありますがね、漢文の聖書を持っておったそうですよ。
《な》 そうですか。
《佐》 その当時はヨーロッパからはちょっと聖書は入りにくい事情があったわけですんでね。漢文の聖書は正式じゃなくて、まぁ、抜けで手に入れることができたようですね。

《な》 山下先生、坂本龍馬とキリスト教とのつながり、いろいろあったんですね。
《山》 ドラマの中でもちょっと出てきましたけども、坂本龍馬の従兄弟に当たる人(沢辺[山本]琢磨=龍馬の父の兄の子)が、日本で最初のロシア正教(ハリストス教会)の司祭になった人なんですよね。ニコライ堂の建てるのに非常に尽力したということで有名なんですけど…。
《な》 そうですか
《山》 それから坂本龍馬の甥っ子ですかね(龍馬の姉、千鶴の次男)、坂本直寛ですけれども、プロテスタント教会の牧師になったということで…
《な》 非常に、だから深いつながりがいろいろとあった訳ですね。
《山》 そうですね。

《な》 先生、わたしたちが心に留めておくといいなぁと思うメッセージがありますか。
《山》 そうですね、去年は開港150周年ということで、それは日本のプロテスタント教会にとっても150周年目に当たるわけでしたけども、そういう(幕末)時代にこれからの日本をどうしようかということで、いろいろな人たちが命を落として戦ってきたわけです。そういう中で日本が築き上げられてきて、今また混迷の時代にあるかなぁ、と思うんです。わたしたちはこれからどういう風に生きるのかというのを改めて考えてみたい、ということを思いました。
《な》 なるほどぉ
《山》 また、明治初期の人たちがキリスト教に触れて、その中でビジョンを与えられたように、わたしたちもまた聖書の教えを通して、これからの日本をどうしていこうかというビジョンが示されたらいいなと思いました。
《な》 150年経った今、もう一度歴史に学び、神様の導きの中をどういう日本にしていくか。
《山》 そうですね。
《な》 もう国境もなくなるような…
《山》 そう、だから、坂本龍馬の時代は「藩」というものを壊して、外国とやりあえるような日本という国を作ろうと、「日本国」っていうものがありましたけど、今はもっとグローバル化してきて、「国」そのものというものが、だんだんだんだんと、国境を越えてっていう時代になりましたから、その中でわたしたち一人一人がどう生きていくか、ということが問われているんじゃないかと思いますけどね。
《な》 今年最後ですけども、この1年の龍馬のことを思いながら、これからの日本をみんなで考えることができたらいいですね。今朝はどうもありがとうございました、。
《山》 ありがとうございました。

トップページに戻る